グリザイユ+グラッシのエミュレーション

布で半分隠れた構成の作品を描いています。
今回、こちらの布の部分はグリザイユ(白+黒での描画)で描いたのち、グラッシ(透明な層)を重ねるやり方で着彩します。
いわゆる「グリザイユ技法」ですね。

今や相当数の人がデジカメとパソコンを持つ時代。せっかくですのでこの文明の利器を使ってグラッシ後の状態をエミュレート=疑似再現してみましょう。
こういう初歩的あるいは中途半端なパソコン活用法は私としてもいまさら感があるのですが、画家の口から語られる機会は少ない気がします。当ブログでも記事にまとめる事はしてなかったと思いますのでちょっとしたネタとしてご披露してまいります。

話は単純で、上記の画像を画像編集ソフトで開き、乗算レイヤーでぬりぬりするだけ。
絵の上に透明のシートをかぶせ、そこに透明なインクで色を塗るようなイメージですが、GIMPなど無料で手に入る編集ソフトで可能です。

こういった作業にはペンタブレットが便利です。なにかと使えますし小さいものはけっこう安く、中古だと1000円以下で手に入るものもあるので一つ用意しておく事をおすすめします。
私はA3サイズのペンタブを使ってますが、デカすぎて逆に使いにくいです。

こんな感じで着彩後の雰囲気がつかめました。
ぬりぬりせずとも選択ツールで塗る部分を囲っておいて一気に流し込めば着彩作業は一瞬。

レイヤーモードを「乗算」にした状態では下層に上層をかけ合わせた色が再現されます。全く濁りのない透明な色をかぶせた事になっている様で、単一色を布全面に均一に塗った状態ですがグリザイユ層のヴァルール(明暗の調子)を壊すこと無くキレイに仕上がってくれます。この状態こそヴァルールと色彩を分離し工程を分ける「グリザイユ技法」の理論通りという感じです。

ただ現実には絵具は物質ですのでパソコン上の理論値のような発色はしません。使用する顔料の屈折率によりますが、暗部が白浮きして色調が転ぶなどという事が起き、なんとも微妙な感じになる事が多いです。これを補正するため何層も着彩を重ねると輪郭は曖昧になり明暗の幅が狭まってメリハリが失われ、全体的にもやっとした画面になってしまう。これもまずい…と、結局グリザイユ層、グラッシ層もろとも不透明色で覆い尽くす。なんて最終的にわけのわからない謎技法の使い手になってしまっている方もグリザイユ技法信奉者の中には多いのではないでしょうか。

パソコンのように何百層重ねようが透明度が変わらないみたいな魔法が使えれば良いですが、ここでやっているような単純な設定と作業によるパソコン上の色の扱いと実際では次元が異なるという事は理解しておくべき大前提です。ただ前述のようになぜパソコン上でできる事が実際うまくいかないのかなど考えるきっかけやヒントを得られるかも知れませんね。

 

せっかくなんで他の色も試してみましょう。
さっきのレイヤーは非表示にして、新たにレイヤーを追加し異なる色で塗っていきます。
これを繰り返して色んな色で塗ったレイヤーを用意し、非表示、表示を切り替えて比較できます。
便利ですね。

えんじ色っぽいのもいいかもしれないし、青も遠目に目立っていいかもしれん。でも自製ウルトラマリンでこの青は出せないな…
などという事を思いながら、チョコチョコっと作業してみました。

 

 

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2件のコメント

    1. 移転後の初コメありがとうございます。承認するまでコメントが表示されない設定になってたので即反映されるよう変更しました。

      どんな描き方しようがそれが成功していればいいんですけど、謎技法を伝統技法であるかのように思い込んだり吹聴したりする事はよろしくないですよねぇ。

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