東京富士美術館

古吉さんから情報頂いて仙台への道すがら、東京富士美術館に行って参りました。
八王子駅からバスで10分くらいでしょうか。
作品には邪魔くさいガラスがはめられていますが、一部を除き写真撮影が可能です。
しかしあまり接近すると注意されるので(侵入禁止ゾーンが床にテーピングされている)、肉眼での観察にはちょっと物足りない感が残ります。
それでも企画展の無い平日は閑散としているので、国内ではかなりすばらしい観賞環境にあると言えましょう。
展示は時代ごとに部屋分けされていますが、いきなり暗い部屋からはじまるので、目が慣れずに見えにくいこと。
次の部屋にソファーがあるので、そこに座ってしばらく目をつぶって瞑想でもするのが吉。
一応作品は撮影してきましたが、RAWで撮ったつもりがJPEGで撮ってしまっておりました。
照明が暗いので微妙なピントズレと手ぶれが痛いです。
美術館の外観や展示室の様子は撮り忘れました。というか、必要もないので。
比較的まともに撮れてた中からちょっとだけご紹介。
▼ニコラ・ド・ラルジリエール(1656-1746) 「若い婦人の肖像」

いい額です。
上下左右と45°の位置にアクセントがあり、画面構成、分割線を誘導する額装は、モールディングでは不可能です。
四角い額に丸い窓を開けた”エセ”オーバルも散見されますが、これは完全にキャンバス(木枠)から楕円形の真性オーバルでしょうか。
私もいずれ描いてみたいと思いますが、額は完全オーダーメイドになるので大変そうです。

多少布目が見える地。
完全フラットではありませんね。


装飾部分を観察すると当時の絵具がどんなものだったのか想像されます。
現代のチューブ絵具とは異なり、明らかにトロリとした絵具だったでしょうけど、ここではニスの効果もあってより滑らかな絵具で描いた様に見えるので、そこは割り引いて観察すべきではないかと思われます。
自分の絵でもニスをかけるとマチエールが滑らかになって、多少トロっとした絵具を使った様に見えます。
レース部分、白い絵具の凸部周辺、凹部に溜まったのはグレーズではなく変色したニスでしょうかね。
修復を経て除去しつくされなかったニスがより凹凸を強調している様です。
肌の部分でそういう事が起こっては困りますから、描き手は肌のマチエールに注意を払うべきでしょうし、こういった感じの絵では結果的に肌とその他の部分は明らかに筆触が異なります。
修復家もその点は気を付けるんでしょうね。
余談ですが、飯田達夫さんによると「日本人の絵はマチエールがカサついてて、修復時に綿棒の綿が引っかかってイライラする」という事でした。
▼イアサント・リゴー(1659-1743) 「婦人の肖像」

ラルジリエールの隣にあった本作はなんだか似たような雰囲気でありますが、リゴーとラルジリエールは友人だったそうです。
キャンバス表面の反射具合から、オーバル木枠である事が判ります。
こちらはまた立派な額ですこと。
ネームプレート付きです。


こちらも服の装飾をみると面白いですね。
この感じ、手持ちの絵具では再現不能だと思います。
キリがないので残りはまたいずれ。

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“東京富士美術館” への9件のフィードバック

  1. SECRET: 0
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    思ったよりよくディテール撮れましたねえ。
    カメラの事はよくわからんですが、黄色調にならないようなモードで撮った方が
    よさそうですね。

  2. SECRET: 0
    PASS:
    鳥越さんのえを見ました、すごくきれです。びっくり、本当に写真にみえるけど、写真よりきれい。え(漢字まちがえたらいけないので、ひらがなにしました:));え1枚かけるまでどれぐらいの時間がかかりますか?

  3. SECRET: 0
    PASS:
    >フルヨシさん
    デジカメだったらグレーカード持って行き、監視の人に手伝って貰って(笑)現場でホワイトバランス(「この色を"白"とする」…という基準)を取ればスポットライトの赤い色に影響されずに撮影できるかと思います。
    それかマニュアルで3000~3400K程度を目安に設定するのも良し…ですね。
    最近はコンパクトカメラでもホワイトバランスのマニュアル設定できるの多いみたいです。

  4. SECRET: 0
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    >nataliyaさん
    どうも先日はお世話になりました。
    またよろしくおねがいします。
    ブログやYouTube、さがして見てみますね(^^)
    「え」は「絵」ですね。
    「あぶらえ(=油絵)」とか「ゆさいが(=油彩画)」と入力すれば、まちがいありません。
    製作時間は500×400mmくらいの大きさで、ひと月に2枚か3枚くらいのペースでしょうか。
    時間のかかる仕事です…。

  5. SECRET: 0
    PASS:
    ニコラ・ド・ラルジリエールのは眉根にある傷が残念な感じ。画像上でだけでも埋めてあげたい。実際、遠目には目立たないのかしら?イアサント・リゴーの絵が女装したおじさんに見えるのは私だけ?

  6. SECRET: 0
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    >karu氏
    修復の考え方でしょうかね。
    修復も時代によって変わって、以前はヒビも判らない様に修復したそうですが、今は破損や劣化も「オリジナル」とする考えになってるそうですよ。(飯田達夫談)
    リゴーはたしかにモデル残念賞…。
    アングルだったら美人に描いてくれたでしょうかね。

  7. SECRET: 0
    PASS:
    返事ありがとうございます:)油絵ですね、よくわかりました。もっと漢字を勉強しないといけない。。。頑張ります:)よく時間かかる仕事ですね、でもできたあとはきもちがいいでしょ、だってすごくきれいだから。こんな絵をかけるなんて、うらやましいです。頑張ってくださいね;)

  8. SECRET: 0
    PASS:
    >ナタリヤさん
    お返事おそくなりました。
    おっしゃるとおり、うまく出来た時は気持ちいいですが、大抵はつらいんですよね…。
    まあゆっくり頑張っていきます。

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