イサクとリベカ

今回は長らく下書きのまま保留していた記事です。
内容はともかく、特にハイビジョン化してからの美術番組は資料として素晴らしい映像がしばしば流れます。
2014年12/6に放送された『美の巨人たち』”レンブラント・ファン・レイン「イサクとリベカ」”
長らく「ユダヤの花嫁」と呼ばれて来た作品ですが、旧約聖書に出てくるお話がテーマになっているとの事で、今後は「イサクとリベカ」に統一されるんでしょう。

大きさ=拡大率がわからないのが難点ですが、番組中に流れたマクロ映像もなかなかのものでした。
Google Art Projectのスキャン画像よりも”寄った”映像は貴重。(画像クリックで拡大)

▲(当方で追加した)矢印部分などは修復による補彩もしっかり見えます

 

▲口元にも補彩がありますが、目の周りが一番目立ちますね

指輪の細いハイライトに注目。
ここでは意図的が偶然かは知りませんが、古い絵画でたまにみかけるやたら細いハイライトは、筆でなぞるのではなく、糸をひく鉛白をうまく操作する事で再現可能ではないかと解釈しています。ちょっと言葉での表現が難しいですが。

異常に盛り上がった服の袖の表現。
絵具を厚塗りした際に現れる収縮皺らしきものが見られますが、いくつかの画像を見ると厚塗りしてほったらかしにしておいただけでこんな皺になるかな?と思われる箇所も多く。
修復家の再現VTRでは、パレットに用意した絵具の表面が乾き、膜となった状態のものをナイフですくって画面に塗りこんでいました。
それが正しいかどうかは知りませんが、なるほどです。画面上で生乾きの鉛白をいじくりまわして出来たた可能性もあると思うのですが、絵具の”膜”を表現に利用した画家は当時レンブラント以外にいたでしょうか。
パレット上で表面が乾燥し膜が張った絵具の中身をほじくりだして描く事はしばしばある事でしょうが、たまに膜が画面に混入してしまうと取り除くのが面倒で邪魔者扱いなのが普通でしょう。

このように角度をつけて撮影されたものは少なく、かなり貴重です。
上記を観察すると押さえつけられたのが判ります。後に修復の際”コテ”で押さえられた可能性も無いではありませんが、絵具を盛り上げてそのまま乾燥させたものではなく、先述のように表面が乾いた膜付きの絵具を押さえながら盛りつけたか、盛り上げて乗せた生乾きの絵具をグイグイ押して、中の絵具をぐにゅりと押し出したりしたんじゃないかという気もします。

ひっかいた痕。
ひっかきによる表現はヤン・ファン・エイクも230年前に実践していますね。

相変わらず現物を至近距離で観察する機会は絵描きに与えられないのですが、高精細映像技術が発達するおかげである種の補完はなされるのではないかという期待は大きいです。
これらを幼少期から見られる環境で育ってくる絵描きはいいかげんな技法書の記述や素人が作り上げたしょーもない定説に惑わされる事も無いだろうと思うと希望が持てます。

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