画家と鑑賞のための照明についての考察 <5>

今回はTwitterでしばしばネタを流していた製作時の照明環境について。

以前古吉さんに頂いたH型イーゼルは改造に次ぐ改造で進化が止まりません。
そのH型イーゼル(改)の双肩に今は山田照明のデスクライト型蛍光灯Z-Light Z-208が2灯装着されております。

Z-208
価格.com Z-208
※2017.12.23追記 Z-208は生産終了しました。お早めに!

 

これに取り付ける管はもちろん以前も解説しました高演色蛍光管ですが、三菱オスラムに替わって最近はPanasonicのリアルクス「FL20S・N-EDL」を使用。Ra99 昼白色5000Kとカタログ値は同じでも微妙ーに温かい色調で好感が持てます。
安く買えるのは以下あたりでしょうか。

Amazon FL20SNEDL
ヨドバシ.com
※2017.12.23追記 東芝、三菱オスラムの高演色蛍光管は生産終了しました。

▲可動範囲はまあなかなかのもので、このように並べて上から照らしてもよし。

▲縦にして左右から照らしてもよし。

▲イーゼル左右の柱に桟を渡す様に裏側からビス止めした角材へ…

▲標準装備のクランプで取り付けるだけ。

イーゼルに使われている木材が意外と硬く、角材を留める際に長いビスが何本も折れてしまいました。L字金具などを使って固定させた方が良いかも知れません。
本当はこの照明を取り付けている角材が上下してくれると良いのですが、なにかいい方法無いでしょうかね。

Z208の可動範囲はなかなか良いのですがアームの関節にはクセがあります。ドライバーで硬さを調節できるものの中に入っているバネの戻りが強く思ったところでビタっと固定されてくれません。このあたりは今は亡き日立の20W型デスクライトFS2015,FS2022,FS2023が優秀でありました。

Z-Lightの良い所はオプションで各種取り付け台座部品を購入可能なところです。
照明本体と取付台座はすっぽりと上に引き抜くだけで切り離せるので(この点日立も同様でしたが)、台座を用意しておけば照明本体の移動が容易にできます。

▲Z-A3 こんなのもあるのでサイズが合えば特に加工もなくイーゼルに直接取り付けられるかも

▲Z-A2 パレット台として使っている折りたたみテーブルに設置

 

▼またこんなものを作りまして

▼Z-lightを差し込みましたら

▼フロア型照明のできあがり

 

本体を持つとスッポ抜けてしまうので移動が面倒ですが、角度も自由ですし制作・撮影用照明として活躍してくれる事うけあい。
下が床ならキャスターを付ければ移動も楽でしょう。
もちろん木材部分はこんな工作しなくても照明台座部品を留めるビスが突き出ない厚みがあればただの四角い板でいいです。

さて相変わらずの蛍光管話でしたがLEDについて少し触れておきます。
演色性をRa(平均演色評価数)だけで見ればまだ高演色蛍光管が示すRa99に達したLEDは存在せずに3年前と状況は変わらず。わざわざLEDにする必要などないと思っているのですが、蛍光管のカタログ値には無い「特殊演色評価数」については高演色LEDの方が積極的にデータを提示している傾向が見られ、もしかすると総合的な演色性能はLEDの方が上なのか?という気が最近してきました。LED脳に洗脳されつつあるんでしょうか。
[参考]
演色評価数・Ra100が必ずしも良いとは限らない!?
高演色(自然光)LED照明のご提案 CCS

※2017.12.23追記
PanasonicのサイトにあるPDFには各種光源の特殊演色評価数についても記されており、比較すると大抵の高演色LEDよりも数値は高くなっています。
先述のCCSに限ってはR12の値が高演色蛍光管を上回っています。
https://www2.panasonic.biz/es/lighting/plam/knowledge/pdf/0107.pdf

演色性をウリにした製品の場合、通常の蛍光管や青色+黄色蛍光体タイプの安価で明るいLEDを引き合いに出すばかりで、「高演色蛍光管vs高演色LED」のデータ、しかも平均演色評価数(Ra)だけでなく特殊演色評価数も併せたものとなるとまるで見当たらず比較できないのが残念。
それでもまあ色々理解した上で余裕のある方はZ-80PRO 後継機Z-80ProII (5000K Ra97)あたりを導入されてみるのもアリかと。

またホルベインが絵画製作向けとして高演色LED照明器具を出すらしい話は耳にしていましたが、近く発売されるそうです。(疋田氏情報によると5月末頃との事)
レンダライト

色温度が4000Kというのは中途半端ですが、ハロゲンからLEDに置き換わりつつあるギャラリーの照明が4000K付近に移行している様な気もするので、それらに近づけるという意味では良いかも知れません。
「アームタイプ」は関節が少ないものの伸縮可能みたいだしイーゼルへの取り付けや角度調整などは楽そうに見えます。また「スタンドタイプ」は当方提案のZ-208フロア型照明のライバル機ですが(勝手)1620mmまで伸ばせたりと更に自由度が高く置き場所が確保できるアトリエなら便利だと思います。本体も軽いでしょうしね。

先日開かれた東京画材ショーで現物を見てきた疋田氏の意見ではイーゼル上部に設置するとキャンバスの上下で明るさが違ってしまうとの事でしたが、それは私も蛍光灯で(特に写真撮影時に)経験しているので、離れた位置に光源を設置するか、複数設置するかの対処が必要でしょう。サムホールとか小品なら影響ないと思います。

ダクトレール用スポットライト型についてはかなり安価である事と写真からマルチコア型(LED素子がたくさん並んだタイプ)じゃないかなと思うのですが、こちら問合せ中ですので後日追記致します。

※2016.3.15追記
ダクトレール用スポットライト型についてLED素子の数とマルチシャドー(幾重もの影が出来ること)が発生するかどうかについて問合せたところ、こちらは96個のLED素子を並べたもので理屈上は96個の影が出来るが、実際はシングルシャドーに近い影の出方になるとの回答を頂きました。

 

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“画家と鑑賞のための照明についての考察 <5>” への6件のフィードバック

  1. 初めまして
    お聞きしたいのですが、紹介されているZ-208はモチーフを照らす照明として使えるでしょうか?
    ダクトレールを付けたいと考えていたのですが、家が賃貸でして壁や天井に穴を開ける訳にはいかず困っていました。
    そこで今回の記事を拝見し、この照明を使えるかと思い質問させていただきました。

  2. クロさん、はじめまして。
    ご質問の文章からはどのような意味で「使える」なのかちょっと計りかねます。
    例えばテーブルの上に高さ1mのモチーフを組んでZ-208をテーブルの縁に固定する場合、そのままではモチーフを上から照らす事はできません。この場合、上から照らしたいという要求に対しては「使えない」となります。
    どんなモチーフをどのように照らしたいのかご提示の上、具体的にお聞き頂ければと思います。

  3. モチーフは果物と陶器を組み合わせたものが多いです。高さは最も高いもので60㎝で、モチーフからテーブルの縁までは30㎝程です。
    モチーフを斜め上から照らしたいと考えてえます。

  4. ご質問が「斜め上から照らせるかどうか」であればZ-208の寸法図から可動域が読み取れるので、ご自身の環境と照らしあわせて判断されると良いと思います。
    ://www.zlight.net/dynamics/spec.php?code_group=Z-208
    モチーフまでの距離が近いと光線の調整は難しいと思いますのである程度の距離を確保した方が良いでしょう。

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