キャンバスの縦横比

以前から気になっていたキャンバスの縦横比について調べてみた。
下の表は、日本における現行のキャンバス(木枠)サイズ
(0,1,2,3号のP,M数値が抜けてますが悪しからず)

キャンバスサイズの規格はフランスで生まれたらしいが、日本では端数を四捨五入して尺寸に置き換えられ、その後メートル法導入にあたり更に端数が四捨五入された。よって中途半端な数値となっている。
上記の事から国内外ではキャンバスのサイズが若干異なる。
異なるといっても、10号以下の場合その差はミリ単位。
そんな事は国内で製作を続ける限り、なんら問題はない。
むしろ問題は号数によって全く違う縦横比だろう。
F,P,Mの三つの規格による縦横比の違いではない。同じFならFでも号数によって縦横比が全く違うのである。
下の表は、キャンバス(木枠)の短辺を1とした場合の長辺の割合を記したものである。

見事にバラバラ。
更にこの比率を元に、短辺を同じ長さとした四角い図形(F0~F20まで)を描いてみた。ちょっと見づらいが、縦横比の巾がこれほど広いものだという事は直感的に分かるだろう。SMサイズは独自の規格なのでまあどうでもいい(?)が、F10とF1,F4の縦横比などとても同じ規格とは思えない。これを見るとF,P,Mの規格の存在意義自体が意味不明である。
キャンバスのサイズというのは黄金比を元に決められているというのが定説だが、こうも違うと黄金比もへったくれも無いように思える。
ちなみに黄金比というのは1.618で、キャンバスではMがこれにあたるという事になっている。
…が、上の表を見てもそんな数値はどこにも出ていない。
縦横比がこうも違うと制作する上でかなりやっかいものだ。
あらかじめ何号に描くかハッキリ決めておかないと、たとえばF3号とF4号では構図の取り方が全く違ってくるではないか。
大きい絵を描く場合には、練習台も兼ねて下書きとして小さめのキャンバスに制作しておいて、それを拡大制作する事もある。その場合も面倒な事になる。

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“キャンバスの縦横比” への7件のフィードバック

  1. 私もF系列の縦横比が号数により縦横比が大きく違うことに戸惑っています。特に手頃なF10が、正方形に近すぎるのは何とかならぬか? やむを得ずP10を使うことがあります。

    • コメントありがとうございます。
      面積の比率を整えた国際規格というものも一応存在しますが、厳密に号数によって縦横比が変わらないわけではなさそうです。
      https://kiwaku.maruoka.co.jp/standard-size-canvas-kiwaku/
      日本では号に合わせて描く=既成の額縁に合わせて描くという事が標準化していますが、好きな寸法の木枠なり板やパネルなりに描き、額縁もそれに合わせて注文する事も検討されて良いと思います。

  2. https://en.wikipedia.org/wiki/French_standard_sizes_for_oil_paintings

    この表を見て、2番目の数字(高さ(センチメートル))を斜めに読むと、F(人物, figure)、P(風景、paysage)、M(海洋、marine)の3つの列すべてで同じ数字になっていることがわかります。

    これは19世紀フランスの古い工業規格です。私の知る限り、現在もこの規格を使っているのは日本だけです。

    私はオーストラリア出身ですが、オーストラリアでは1971年からメートル法が導入されているにもかかわらず、キャンバスのサイズは今でもインチで販売されています。(グーグル翻訳を使うことごめんなさい!)

    • 黄金比は、製造の容易さほど重要視されていなかったのだと思います。日本の製造業においてミリメートル単位に標準化された結果、独自の規格が生まれたのでしょう。私はそれに慣れるのに苦労しました!

    • コメントありがとうございます。
      キャンバス規格が元々フランス由来である事は各種資料から存じ上げております。
      しかしオーストラリアでもキャンバスがインチ規格である事は知りませんでした。貴重な情報ありがとうございます。
      ちなみにキャンバス木枠に使用される木材にWestern Red Cedarが使われているのも世界的には珍しいと思うのですが(※)、以前調べたところではオーストラリアでもWestern Red Cedarのキャンバス木枠が市販されていたと記憶しています。その事実はありましたでしょうか?
      ※コロナ禍以降、木材輸入減や価格高騰により日本でも使われなくなり、杉や松が使われるようになりました

  3. こんにちは! オーストラリアの画材店に行ってからずいぶん経ちました。でも、WRC製のストレッチャーバーはいつもすごく高かったんです!松製のは安いですが、とても重いんですよね。軽くて丈夫な日本製の張り枠が一番です!!

    • たしかに松は重たいですよね。
      日本製のWRC木枠は組み換えができませんが、4本セットで考えるとかなり安かったんですよね。
      でも今はWRCは無くなってしまい、杉や松、どれも高くなってしまいました。
      またいつか、以前の状態に戻る日が来るのでしょうか…

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