いよいよパテからウルトラマリンを抽出します。
今回準備するのは、先日作ったパテとアルカリ水溶液(=炭酸カリウム)。
あとは適当なお椀をいくつか。
それに湯煎用のボウル。
記録するのなら温度計などあると良いかも知れませんが、私が購入した安い温度計はアルカリにやられて目盛りが剥がれてしまいました。一応実験用らしい温度計だったのに。
チェンニーニの著書(或いは他の技法書)では灰汁を使うとの事らしいですが、論文にもある様に炭酸カリウムを溶かしたお湯を使います。
論文にある最適な濃度は0.2%あたりの様なので、正確ではないけどもビーカーに500ccの水と1gの炭酸カリウムを溶かして使用する事に。
ビーカーの炭酸カリウム水溶液を湯煎で温め、ダイソーで買ってきたどんぶりに注ぎます。
チェンニーノの著書には二本の棒で捏ねる様に指示されていますが、論文1には「普通素手で捏ねる」という様な事を書かれているので、どんぶりにパテと共に両手を突っ込んでこねくり回します。
私が作ったパテは小さい事もあってか、37°くらいのお湯でも結構柔らかくなり、論文にあるほどの温度は必要ではありません。
パテの柔らかさはよく練った練り消し程に柔らかく、ただひたすらこねくり倒しますが10分経ってもお湯は白濁するだけで青身は一切出てきません。
お湯の温度が低いのかと、湯煎して40°ほどにして5分、更に45°にして10分試しても、ごくごく僅かに水色っぽくなっている程度。
こりゃダメだ。
…って事でアルカリの濃度を倍の0.4%に上げ、水温は42°くらいで再開すると…
でたでた!
溶け出たヤニの黄色と混ざってこれまた何ともきれーな水色ではないですか。
なぜ0.2%の灰汁では抽出できなかったのか。
25分では足りず、もっと長時間やっていれば抽出できたのか?(考えにくいが。)
あるいは論文と違いバルサムを使用したパテなので抽出可能な灰汁の濃度が異なっているのか。
チェンニーニが言うには「これをやって灰汁が完全な青色になったら、釉薬のかかった碗にこの灰汁を移す」との事らしいので、少し小さめの容器に移し替えます。
底に溜まった青のこの色!
よく見ると論文にある通り、最初の作業では若干白い部分も抽出されてしまっている様です。しかし底に溜まった顔料は完全に他の容器に移すのが難しく、そもそもなぜ抽出後の灰汁を他の容器に移し替える必要があるのか大いに疑問です。
抽出用の碗は一つで、常にそこにはパテを入れておき、抽出の度に灰汁を注いで終わったら灰汁のみを他の容器に移す…この繰り返しをやれと指示されているのです。
同じお椀をいくつも揃えて灰汁を注いでおき、パテを移し替えた方が遙に効率がいいのに、この指示の意図するところは何なのでしょうか?
抽出用のお椀というのは特殊な形状であったのか、あるいはバルサムで作られたパテが棒で捏ねると柔らかすぎてお椀にくっついてしまう為に灰汁のみを移し替えたのか。
そんな事を考えつつ、同じ0.4%の炭酸カリウム水溶液で2回目の抽出。
素手でやるには指がふやけてしまうので10分でも長いくらいですが、一度目よりすんなりと青色が出てくる様です。
そしてこの色!
論文にもある通り、二度目の方が良い色が出ます。
右から、全く色の出なかった0.2%の灰汁、0.4%1回目、0.4%2回目
(真ん中と左の灰汁の量が少ないのは単に分量を減らしたからです)
あとはこれの繰り返しでどんどん抽出していきますが、指も白くふやけてしまっているのでまた後日。
本日抽出した分は一晩置いて沈殿させます。
そうして上澄みを捨てた後に、何度か炭酸カリウム水溶液で顔料を洗い、乾燥させて、めでたく顔料のできあがりとなります。
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ついに顔料が……
となると抽出した色を使ってどんな絵を描くのかも気になるところです
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>くろす氏
まだ恐らく2gにも満たない顔料しか抽出できてませんし、洗い作業などで完全な顔料化には至ってませんがそのうち何か描くでしょうね…
といっても、もともと青はあまり使わない色なのでどこに使おうか悩むところなんですけど…