先日ご紹介の鳥越式鉱石粉砕器を使って、いよいよラピスラズリ原石を砕き、顔料にしていきます。
今回使用した原石は1kgまとめ買いしたものの中から、濡らすとかなり青身の強かった石をひとつ選んだ。
乾燥状態では白っぽく、よく見るとかなりの量の方解石(白い部分)が、これを取り除くのは手作業ではムリというくらい細かく霜降り状にまざっている。
また当然の如く多少のパイライト(金色のツブ)もまざっております。
粉砕器でもってガツンガツン、カキンカキンとある程度まで砕いたものが以下の図。(先日もご紹介)
この程度のツブではまだ乳鉢で擂るには大きすぎるので、さらに細かく砕きます。
青い部分は白い部分に比べて柔らかく先に砕けるので、ふるいにかけて選別しながら砕くべきですが、面倒なのでそのまま粉砕。
もっと良い石でやる時に気合いいれてやります。
ちなみに「ふるい」がネックの一つでもあり、「天然ウルトラマリンの抽出」論文中には(恐らく最終的に)250メッシュのふるいを通したとありますが、「250メッシュ」だけではどれくらいの目開きなのかわからないので参考程度にしかなりません。(網線の太さによって開口径が異なる。)
フェルメールのウルトラマリンは概ね10μだという事で、それを漉すにはどれくらいの目開きのメッシュがあればいいのか、サッパリ判りません。(目開きが10μでは通らないだろうし、倍の目開きでいいのか、4,5倍くらい必要なのか)
ともかくμ単位の細かいメッシュになるのですが、試験用のものは普通に買うと結構お高いもので。
そうなると当然自作する事になりますが、メッシュのみを切り売りしてくれる店に見積もりをお願いしたところ、目開き25μのナイロンメッシュ1mは1万円ほど… 10cm角もありゃいいんですけど。
とりあえず模型用のメッシュや塗料用のこし器、スクリーン印刷のスクリーンなどが使えるのではないかと思索中。
「ポリビン篩」なる便利そうなものを使ってみるのも吉かも知れません。
100と200メッシュがあります。値段も2,000円と比較的お安い。
自作がうまくいかなかった時、また継続的に使う様であれば検討してみます。
さて、とにかく今回はふるいにかけずに粉砕したラピスラズリをば乳鉢に移し替え、ひたすらゴリゴリ。ゴマを擂る様な生やさしい擂り方ではいけません。
相当な力を入れながら、乳棒を軸回転させつつ本当に少しずつ砕きます。
ある程度まで細かくできたら、通常の擂り方に変えます。
ただし相当な力を加える点は変わらないので、翌日手のひらが痛くなる事必至。
自動乳鉢が欲しいと思いました。
ある程度粉にできたので、試しに少量を取り分け、リンシードオイルを加えてみました。
▼真ん中が自製ラピスラズリ(上に顔料状態のもの)。左に合成ウルトラマリン、右はRUBLEVのラズライト
なんと、適当にやった割にはRUBLEVのラズライトよりいい色が出てしまいました。
なんとなく雰囲気は似ています。
やはりRUBLEVラズライトは抽出を経ていない、単にラピスラズリを砕いたものの様ですね。
たまたま今回砕いた原石に含まれるラズライトの色味が良かったのでしょう。
しかし自製ラピスラズリ顔料の粒状感は比較にならないほど粗いので、もっとゴリゴリする必要がある様です。
さて、擂り終えたラピスラズリ粉末からどの程度のウルトラマリンが抽出できるんでしょうね。
楽しみです。
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自作の削岩工具で岩石から顔料を抽出するなんて
なんだか凄い事になってますね(汗)。画材屋の市販
品を買うだけでは良い色は見つからないんですね…。
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>牧氏
私がやっているのは理想の絵の具を求める事ではないのです。
小さい頃、よく学研の「かがく」などに載ってた実験を、自分で道具揃えてやってみたりしませんでしたか?
雑誌に載る程度の実験の結果など、どうなるか世間的には分かり切っている事で意味など無いのですが、それを再現する側の子供はものすごくワクワクしながらやるんですよ。
私の顔料作りも同じでして(^^;)
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原料どころか原料を作るための機材までDIY(^^;
この際「完全手作り絵」に挑戦とかどうですか?(w
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おおっ!
RUBLEVよりいいですねえ。
フェルメールブルーに近いかんじしますね。
こうなるとウルトラマリンがすごく安っぽい色に見えてしまいますなあ。
続編楽しみです。
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>くろす氏
市販品が無いのでしょうがないですね…DIY! DIY!
完全手作り…つまりキャンバス布も油も自分で作るんですか…(=_=;)
絵の具一色作るのに一万以上かかってるし、完全手作りは不可能とまでは言いませんが、残念ながら現実的にムリですね…
>フルヨシさん
RUBLEVラズライトやら自作ラピスラズリをずっといじってると、合成ウルトラマリンはもうチューブから出した瞬間に「完全なベツモノ」感がブワっと漂いますね。
まあ現代のほとんどの色に関してもそうなんでしょうけど。
後はいよいよラピスラズリ粉末から青色顔料を抽出する作業本番へと突入です。
乞うご期待!
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ラピスを砕いただけの色がこんなに鮮やかだなんて思いませんでした!すごい面白いです。勉強になります。
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>masaakiさん
私もこんな色が出るとは思いませんでした。
モチロン原石の質に依るでしょうが、充分油彩の顔料として使えると思います。
水彩では水色っぽくにしかならないでしょうけど。