よくわかる今の絵画材料


「美術の窓」誌に連載された青木芳昭さんの「実践!絵画素材の科学」が一冊の本にまとめられました。
4800円とお高めですが、フルカラーで図版が多く、パラパラめくって眺めるだけでも興味ある人ならある程度楽しめるでしょう。
一般向けの画材図鑑のようなものではなく、内容はかなり偏っていますのでご注意。
個人的にはシッカチーフについて書かれたところは勉強になりました。
ただし、各社シッカチーフの成分表をみるとルフラン製の「ハーレムシッカチーフ」ににコーパルが入ってる様になっていますが、現在はコーパルが合成樹脂に置き換えられているはずです。
参照されている資料が古く、他の製品についても現在とは異なる可能性がありますね。

あとはフナオカキャンバスの取材、絵具メーカーへの取材あたりが興味深かったです。
記事冒頭では「筆者の知る限り手塗り専門は世界でARTFIXのみ」と、最近話題の(?)ARTFIXについても言及されております。
ちなみに昨年あたりフナオカからカタログやサンプルを送ってもらった際には、本誌の取材記事が冊子化されて同封されておりました。
特に巻頭の方ではいろいろな溶液の作り方が載っていますが、それらをどこにどう使えばいいのかがよくわからず方手落ちな感が否めません。わかる人はわかるからいいのか…。
また様々な素材を紹介されてるのはいいけど、具体的にどこで入手すればいいのかのまでは、面倒みてくれていません。
巻末には海外メーカー・ショップの紹介が掲載されており、特にZECCHI(ゼッキ)の商品群はズラリと紹介されています。
掲載写真はゼッキのHPにあるものと同じなので、メーカーから資料を貰ってきたのでしょう。
http://www.zecchi.it/
カートシステムが無く、掲載商品の注文はメールでする事になりますが、つたない英語でも丁寧に対応してくれます。
海外製品ではOLD HOLLANDなどもちょっと載っていますが、こちらは他のメーカーと一緒に、また当方で紹介したいと思います。
著者の知識量はすごいと思うので、油彩に特化したこういう図版たくさんの分かり易い本を出してもらえればなぁなどと思います。
Amazonで購入可能です。

よくわかる今の絵画材料―絵画素材の科学
青木 芳昭
生活の友社
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“よくわかる今の絵画材料” への4件のフィードバック

  1. ええ?、ハーレムは合成樹脂なんですかー。。。
    フラマンシッカチーフはどうなんですか?

  2. >古吉さん
    ハーレムの中身が変わったのが正確にいつなのかは知りませんが、少なくとも2006年には当ブログで言及していますのでそれ以前から変わってます。
    現在ルフランのサイトを見ると「Phenol-formaldehyde resin(フェノールホルムアルデヒド樹脂)」とあります。
    溶剤についても、現在はペトロールですが以前はテレピンだったんじゃないかという様な意見も散見されます。
    フラマンはコーパル入りです。
    しかし気になるのが一点、今ルフランのサイトを見ると、フラマンの溶剤は「odourless solvent(無臭溶剤)」になっています。
    何年か前の日本語のカタログには「精留ターペンタイン」とあるのみなんですが、このころからオドレステレピンだったのか、近年溶剤が変わったのか…

  3. 一般的に「フェノール樹脂」と呼ばれるものが、Phenol-formaldehyde resinの様です。

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