自分が持つ照明の分光分布図と演色評価数をさっくり測定できれば便利ですよね。
でも市販されている分光測定機のお値段は…(下記参照)
近頃ですと下記のようなマニア向け商品も販売されてますので、自信のある方は比較的安価に分光測定環境を構築できそうです。
でも照明の質を計測すんのに今から4万7000円の出費はなぁ…
と、尻込みするへっぽこな私に朗報。
実はディスプレイのキャリブレーション用センサーに使っているColorMunki photoを使ってお手軽に環境光の分光分布図を得られるとの事。
もともと環境光の色温度や照度はColorMunki付属のソフトやSpectraViewのようなキャリブレーションソフトでも測定できたのですが、Lighting Infoなるアプリを使えば取得する測定データを元に視覚的な分光分布図を生成してくれるようです。
こちらMac専用アプリでして動作条件としてOSX 10.8以上が必要。
Windows環境しか持ち合わせなかったのでなかなか苦心しましたがまあなんとか動く環境を整えられましたのでいろいろ測定していきましょう。
もくじ
分光分布図 – 蛍光管
・Panasonic リアルクス FL20S・N-EDL・NU
パナソニックの高演色蛍光管を取り付けた自室の天井照明。
なんかMacらしいおしゃれな分光分布図の下には照度、色温度、演色評価数などが数字で表示されています。42.7Lux…天井から距離もあるので暗いです。
スペック値Ra99の蛍光管ですが実測値はRa97.5。
そろそろ新しい管と付け替えなければいけませんかね。
下図のような試験色各色の指数が出ればいいんですけどねー、表示されるのは平均演色評価数のみ。 最近計測したものにはR1~R15の数値も表示されるようになりました
続けて同蛍光管をデスクライトZ-208に取り付けたもの
こらちの方が使用時間は少ないのですが、なんだか450-540nm付近の山が鋭角に出てますね。
・Panasonic FHF32N.EDL.NU
同じくパナソニック製の高演色蛍光管ですがインバーター器具用で美術・博物館用として紫外線吸収・飛散防止膜仕様。
・三菱オスラム FL20S・N-EDL・NU
三菱オスラム製の色評価用蛍光管。550nmのピークが強く、490nm付近の山がパナソニックよりも高めです。
パナソニックより緑っぽく感じるのはこのためでしょうか。
以上ここまでは高演色蛍光管の分光分布図でした。
当たり前ですが大体似たようなグラフ形状です。
次に家庭で最も多く使用されていると思われる一般的な三波長蛍光管のスペクトルを見てみましょう。
・三菱オスラム「 ルピカ」
20形の三波長直管型蛍光管。Raは85.9と出ています。
・Panasonic 「パルック」
台所の天井照明に取り付けているパナソニック製三波長丸型蛍光管。
(カバー外すのが面倒だった為詳細不明)
なんじゃこのスカスカなスペクトルは…
って風に見えますが、ほとんどの方が使ってる照明はこんな感じです。
事務所や倉庫などで多く使われているのは安価な一波長型蛍光管ですがさらにひどい分布図になると思います。手持ちがないのでそのうち。
分光分布図 LED照明
ここからはLED照明。
「高演色LED」と呼ばれる製品群から。
・Z-80pro
三波長蛍光管のような三原色のピークが無く紫付近のピークのみなので分布図はなめらかに見えます。
紫付近がグーンと伸びているのは、高演色白色LEDは紫や紫外線を出すLEDによって赤・緑・青の蛍光体を光らせているためです。
・GoodGoods LD-84ZB 昼白色
Z-80proよりもピークから緑に移行する付近の谷間が浅く、その付近の色もよく出るんでしょう。
・LEUDO RE-TL520-2050
リュウドの高演色LEDスポットライト
・安物LED懐中電灯
高演色LEDと違って一般的な白色LEDは青色LEDに黄色の蛍光体をかぶせたもので、明るく長寿命ですが演色性に劣ります。
画家の制作用と観賞用にはこういうのを買わないようにしましょう。
Panasonic LED電球プレミアX
たぶんパナソニック初となる電球タイプの高演色LEDではないでしょうか。
・LDA7WW-D-G/S/Z6 (温白色相当)
東芝「キレイ色」が生産終了となり、2019年現在、大手メーカー製の高演色LED電球が絶滅して久しい中、パナソニックがようやく高演色LED電球市場に参入してきました。
40形相当と60形相当があり、「電球色相当(2700K)」「温白色相当(3500K」「昼白色相当(5000K)」「昼光色相当(6500K)」の4種が揃います。ちと「相当相当」ウルサイですな。
今回はトイレ用に60形相当「温白色相当(3500K)」を購入。
カタログ値では演色性Ra90と控えめですが、ネットで調べると実測ではRa90以上をマークしており、当方の計測でもRa93と出ました。
・LDA7N-D-G/S/Z6 (昼白色相当)
カタログ値5000Kの高演色LED電球(E26金口)ですが、我が家に来た個体の実測値は4600K付近でした。
演色性の方はカタログ値Ra90のところ、実測Ra96.6となかなか高い数値を出しております。
全光束810lmですが少し暗い気がします。このあたりの感覚は「色温度が高くなると暗く感じる」のであまりアテになりませんが。
GoodGoods LD-84ZBを知っているとやはり「60形相当」は暗く感じます。
・Beamtec DLSB7030YW
3,000円チョイで買えるダクトレール用のスポットライト。
定格光束は1250lmでリュウドの1500lmには劣りますが軽量小型で扱いやすいです。
Ra94となかなかの数値ですが470-480nm付近の谷が深いですね。
オーム電機 彩りあざやかRa93「GRANGRADE」LED電球
・OHM LDA8N-G AG6/RA93 06-3862
なんと税込み547円と破格のオーム電機製高演色LED電球。
こちらは60形相当「昼白色」のスペクトル。
他に「昼光色」「電球色」も揃い、40形やボール電球形の100形相当もラインナップにあります。
カタログ値はRa93とあり、製品型番にもRA93を入れ込む気合の入りようですが実測値は96.8となかなか優秀です。
全光束847lmと電球型にしては明るめです。
・OHM LDA8D-G AG6/RA93 06-3863
昼白色モデルと同じく演色指数のカタログ値はRa93ですが実測Ra96となりました。
明るさはカタログ値870lmと昼白色より高くなってます。
まあこちらも比較的良い数値だと思います。
・OHM LDG12D-G AG6/RA93 06-3870
オーム電機の高演色電球型LED照明、同シリーズのボール電球100形相当の製品。
1480lmと明るめですがボール電球型ですから取り付ける器具を選びます。
直販価格で1078円とこちらも安価。
なぜかボール電球型のラインナップには「昼白色」(5000K)がありません。
・Panasonic LGB54387 LB1

ダクトレール用スポットライト。569 lmと光量は少なめ。
定価24,800円ですが既に生産終了しており、オークションなどでデッドストック品を狙えば5,000円くらいで手に入る事もあります。
ただし「美ルック」シリーズにあたる製品にも関わらず気持ちの悪い色味です。全然ダメ。
Raは90を超えていますがR12の値は例にもれず低い。ただ時間経過で徐々に上がってゆき、上の図で示す数値71.8が最高値でした。
・Panasonic LGB54397 LB1

上記と同様のシリーズで931 lmと高光量のタイプ。明るくても色味は前者同様ダメです。
全体的に同じ傾向。
こちらも生産終了品ですが前者と同じくオークションなどでデッドストック品が5,000円くらいで手に入ることもあります。
・アイリスオーヤマ LDA10N-G-6T5HR

電球型のLED照明の中では現時点で最高の製品ではないでしょうか。定価1,958円と高級な部類ですがパナソニックのプレミアXより安価で優秀です。
「昼光色相当」とありますが数値を見ると色温度は若干低め。
全光束810lmと明るさは並。若干潰れた球形をしており箱も他社製品より一回り大きいです。
公称Ra97、実測Ra98.4を叩き出しております。
R12の値も健闘してます。
スペクトルが隠れてしまって申し訳ないです。だれかMac下さい。
※測定に使うソフトのバージョンアップに伴いR1~R14までそれぞれの数値が表示されるようになりました。と同時にPC入れ替えにより測定値が測定終了と同時に消える現象に見舞われているため、測定中の画面キャプチャしか記録が残らないようになりました
肝心の太陽光の分布図がありませんが、いずれ測定できたらまた更新します。
(センサーはUSB接続ですので延長ケーブルで届く範囲しか測定できないんです)