画家と鑑賞のための照明についての考察 <1>

現代の絵描きは恐らく、蛍光灯など人工光源のもとで描くという事がすごく多いと思います。
写真を使う画家も多いので、なおさら照明についていくらか勉強しておく必要があるんじゃないでしょうか。
という事で、当方も素人ながらにいろいろ調べて得た知識などをまとめます。

太陽光をプリズムに通すと虹色(スペクトル)に分解され、その虹色をまたプリズムで合成すると白色になるというのは理科の授業で習ったかと思います。太陽光という光源にはあらゆる色が含まれているという事です。
ところが人工照明から発せられる光は、色の一部が欠けていたりしてまして、その欠けた色というのはどうやっても見ることができません。
極端に言うと真っ赤なライトで青いものを照らしても、我々は青を見ることはできないのです。
より太陽光に近いスペクトル分布を示す高演色な照明下で鑑賞する絵画は、通常の照明では見えなかった色が見えてくる可能性があります。

光源について少し踏み込んでみると、明るさを示すルーメンやルクス以外にも以下の2つの言葉がよく出てきます。

1.演色性
2.色温度

1.の演色性は、色の再現性の事です。
演色性が高いものほど、理想的な光源(≒太陽光)に近い発色を示します。
JISが定めた平均演色評価数(Ra)という指数で表記され、100が最高値でそれに近いほど演色性が高いという事になります。
演色性の高い蛍光管本体には「高演色性」「色評価用」「演色AAA」などの表記があります。(AAAはRa95以上の意)

2.の色温度は赤っぽいとか青っぽいとかを数値で表したもので、色温度が低ければ赤く、高ければ青くなります。
単位はケルビン(K)で、白熱電球やハロゲンランプの色温度は3000K前後、蛍光管ですと昼光色が6500K前後、昼白色が5000K前後のものが多い様です。
昼間の太陽光は6500K、夕暮れが3000Kとか言いますが、実際には地域や天候、地形、環境によって変わってくるでしょう。
印刷業界では5000Kが標準なので、印刷物を鑑賞する際には5000Kの光源下で観るのが正解であって、色温度も異なる、演色性の悪い蛍光灯下で「色が違う」といっても、当たり前の話なんですね。

演色性が高くとも、例えば白熱電球やハロゲンランプはRa100ですが鮮やかな青を再現できません。
理想的な光源である太陽光の下でも、夕方になれば青色はくすんで見えますよね。それと同じような事で、演色性だけに言及しても全ての色が望む発色をしてくれるようになるわけではありません。
昼間の太陽光で見える色を求めるのであれば、色温度5000Kや6500Kの照明で、演色性の高いものを…という様に、演色性と色温度はセットで考える必要があります。

次回は当方が使用する照明機器をご紹介します。

 

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“画家と鑑賞のための照明についての考察 <1>” への1件のコメント

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