すごい顔料をみてきた

東武絵画市での展示を終えて数日間、久々の関東遠征ときめこみ方々を巡りました。
Mediciの動画ではいつも顔を合わせている松川さん、それに俵屋工房の高橋さんらとも久々にお会いし、先日話題にしました顔料職人・吉川さんの工房を目指し一路神奈川へ。
本牧絵画館、吉川さん、ウチの従姉弟2家族…最近妙に神奈川に縁ができつつあります。

さすが二十年以上に渡り天然顔料を精製しておいでという、その工房に所狭しと並ぶ様々な機材に感心しきりでしたが、そちらの様子は遠慮して撮影ナシ。またいずれ取材させて頂きたいと思うところです。

これは安くて良い機材だとか、○万円で手に入るからオススメだとか、まるで私を顔料職人への道へといざなうが如く色々とお教え頂きまして、でも、すいません、ウチにそんな機材置くスペース今んとこ無いんです…。
改めて自分の周囲を見渡すと、足の踏み場は2畳ほど。

前回驚異的に高純度なウルトラマリン顔料をご紹介しましたが、今回は見せて頂いた顔料群の一部をご披露。
なんといっても50種もの天然顔料を取り扱われているというのですから、そりゃほとんどの色が揃うでしょう。
私が知らないものの方が多いです。

すでに松川さんのブログでも紹介されていますが、松川さんが最も食いついたのはウェルド。それとコチニール。

 

左:ウェルド(Weld, C.I.Name NY2)
右:コチニール(Cochineal, C.I.Name NR4)

ウェルドについて調べますと、フェルメール作品の分析からも「痕跡」が見られるらしく(下記参照)結構よく使われていたものかもしれん…くらいの感覚しか私はないのですが、とにかく植物から取れる染料をレーキ化したもの。
インディアンイエローとは使い分けされるような色なのでしょうか?


日本語で検索しても松川さんのサイトと他に1,2件しかヒットしないという絶滅っぷりですが、英語圏ではいつくかの資料が散見され、実際にグラッシで使用した作品例なども見つかります。


松川さんは以前ウェルドを栽培された経験から吉川さんと原料供給の話で盛り上がってましたので、そのうち松川ウェルドによる顔料が登場するカモ!?

コチニールはラックカイガラムシから取れる色素。かつてのカーマインレーキやクリムソンレーキはコチニールでしたが、現在市販のチューブ絵具は合成されたアントラキノンなどに置き換わっています。
で、そのアントラキノンは西洋茜の根を煮たりして取り出される赤色染料の化合物名との事で、西洋茜から取れる赤色顔料と言いますとマダーレーキ或いはアリザリンレーキとなります。マダーは植物の名でアリザリンは赤色成分の名?もうわけがわかりませんね。
同じものなのに名称を複数覚えなければならず、加えて製品名としてアリザリンクリムソンやアリザリンカーマインなどというものも存在し、カイガラムシと西洋茜、どっちがどっちか…しかも中身はアントラキノン+ジオキサジンであるとか、原料と色名の整理がつきにくく混乱しやすい。すいませんこれも自分用メモとして書いてます。

 

次いでスマルトは使ってみたい青色顔料の一つです。
人口顔料ですがすごく簡単に言うと青い色ガラスを砕いて粉にしたもの。
「なぜ使われなくなってしまったんでしょうか」
と訊ねるも、その場に居合わせる全員がウームと唸る。
まあ、合成ウルトラマリンやコバルトブルーの方が色も濃いし安価に作れるからというのももちろんでしょうけども、時代の流れですから理由を限定して語りにくいのは確か。

お隣のエジプシャンブルーは人類最古の合成顔料とも言われるもの。
よく知らん顔料なので作り方を聞いたかどうかすら忘れました。
濡れ色を見てみたいのですがこのままの落ち着いた色調であれば手持ちの染められたシルク布の描画などに使えそう(価格を無視できればの話…)。

左:スマルト(Smalt, PB32)
右:エジプシャンブルー(Egyptian blue, PB31)

 

ダイオプテーズはかつてエメラルドと間違われたという鉱石。
原石はきれいな結晶なので標本を買ってこの顔料で描いてみるのもいいな…って私の天然顔料の使い方はそればっか…。
緑色の鉱石は銅を含むものが多いです。

紫根は薬草としても著名な様ですが、「ムラサキ」という植物から得られる染料。これをレーキ化したものでしょう。紫色系の絵具は高いですけど、レーキ顔料は製造に手間がかかるのでこちらもお高いはず。

左:ダイオプテーズ(翠銅鉱)
中:紫根(薄口)
右:紫根(濃口)

 

お次は本物のアイボリーブラック。
絵具の名前としては残っていますが、現在流通するアイボリーブラックのほとんどは象牙ではなく牛の骨を焼いたものの様です。

 

なんかいろいろ。

 

オーピメントとリアルガー。
ヒ素化合物ですね。

よく知らない顔料が多かったのですが、おぉっ…!と思うものもいくつか。ながめて話を伺うだけで幸福でした。
しかしやはり私などは、できれば眼前に並ぶ顔料群を油で練ってみたいと思うのでありました。

こちらで紹介しました顔料の一部も絵具屋三吉さんの販売サイトに掲載されています。
「The Genuine Pigment」シリーズとして挙げられたものが、おそらく吉川じるしの天然顔料ではないかと思われます。コルク栓のガラス瓶入りがオシャレ。
非掲載品も恐らく購入可能ではないかと思いますので、気になった方は問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 

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