横浜本牧絵画館における研究発表展示「銅板油彩画の制作」展は2月24日をもちまして無事に会期を終えました。
今回の展示については来館頂いた一般の方々はもちろん、絵画関係者にも好評だったようです。
やはり銅板油彩画そのものが珍しく、制作法について語られる事なんてまず無いですから絵画ファンや専門家の興味を引く内容だったんだと思います。
今後、当方が通うアトリエ併設のギャラリーにて縮小展示を行う計画でしたが、これだけ手間をかけ内容も充実しているものですから、できれば同規模での開催を他地域でも実現できないか…と思い、企画展示としてやって頂ける会場を探しております。
場所を借りての展示ならいくらでも候補はありますが、私個人では資金と人員不足ですので。
40m程度の壁面があればそのままの展示が可能かと思います。
お心当たりのある方おられましたら是非コメント下さい。
それでは、事後になりますが横浜本牧絵画館での展示の様子を、簡単な解説を添えて以下にご紹介します。
館内正面入口からのようす
奥の壁にはカッティングシートによる“鳥越一穂「銅板油彩画の制作」”の文字がスポット光で浮かび上がります。
パネル群
開催にあたっての挨拶と作者略歴。画像だとサイズ感がわかりませんがA1(594x841mm)と大きなパネルです。
パネル「キャンバスvs銅板」
キャンバスと銅板の違いは見た目(マチエール)にも現れます。それぞれの作品を並べ比較。
パネルには銅板油彩画に関してよく受ける質問をQ&A形式でまとめました。
パネル「古くからあった銅板油彩画」
銅板に油彩画を描く手法は私の思いつきでも何でもなく16世紀には登場し、その後も多くの画家の手によりかなりの数が描かれました。そのあたりをパネルで解説しています。
資料「銅板油彩画の古画」 提供:アトリエ・ラポルト
古い銅板油彩画のホンモノをお借りして展示しました。ハンマー打痕が残るいびつな形の銅板は、圧延機が登場する17世紀よりも前のものと推察されます。
パネル「銅板の準備と制作」
文字通り、準備から制作までの流れをまとめ、解説を添えたパネルに銅板現物を貼り付けて展示しました。手前の台には実際に触れてもらえる銅板のサンプルを展示。
パネル「乾性油と銅板の接触による緑化反応」
銅板に乾性油などを塗布し、緑化反応の起きたサンプルをパネルにはりつけて解説しています。
動画の投影
区画を分けたスペースを映写室とし、動画をエンドレス再生しました。ヤスリがけ、かしめ、フラマン処理、地塗りなどの下準備、そして描画の様子を8分程度の短い動画にまとめています。
館内 奥手より
画像左手壁面から奥の壁中央くらいまでは10cm/11cm角の小品、その他も18cm角程度の作品が並びます。もちろん全て銅板油彩画です。
会場中央にはデモンストレーション用の台が設けられ、たった2日間のデモンストレーションを行いました。
もう少し長く時間とってちゃんと描くべきだったかなと思います。
これらのほかに、写真を撮りそこねたいくつかのパネル、そして天然ウルトラマリン、スタック法鉛白なども参考展示しました。
このような充実した規模の展示を行う機会が今後あるかどうかわかりませんが、私の意向としては単なる販売のための作品展示ではなく、素材や技法の紹介を含めた学べる展示を目指してやっていくつもりでおります。