いつも思うが、タックスはなんでこんな不均質な形をしているのだろうか。一見いい加減な製造をしてある様に見える。先端こそ非常に尖っているが、トンカチでつぶしたような「軸」だし頭は楕円形をしていて「バリ」も付いてる。
「タックス」と言えば揃ってこの様ないい加減な形なのでそれなりの理由があるのだろう。
実際使い勝手はどうなのかというと、「普通の釘」よりもタックスの方が打ちやすい。
先端が非常に尖っているため、素手で押し込むとすんなりキャンバスを貫通して木枠に刺さってくれる。また胴体も短いため、タックス本体が倒れにくい。
書きながら考えてみたがたしかに「軸」の断面は、まん丸より潰れていた方が倒れにくそうだ。
通常、釘を木に打ち込む時は片手で釘を支えておく事ができる。しかしキャンバス張りの場合は片手でかなづちを、もう片手には張り機を持たねばならないので、釘を支える手が足りない。
どうするかというと、あらかじめキャンバスの上からタックスをある程度素手で差し込んでおいて、あとは支え無しでかなづちで打ち込む。
この事から通常の木工用の釘よりも、より倒れにくい設計でないとキャンバス張りはむずかしい。
よく見ると「軸」の付け根、頭の皿の裏側に出っ張りがついている。これもキャンバスのズレを防ぐ為の工夫だろう。という事は、キャンバスを張る方向に対してこの出っ張りが直角になる様に打ち込むのが正しい使い方だったのか。はじめて気づいた。
これで頭がまん丸ではなく楕円形をしている理由もわかった。頭がまん丸だと、裏側についているこの「出っ張り」の向きがわからない。