前回長すぎたので短くまとめていきます。
予告内容と異なりますが、小ネタです。
金属を支持体にするにあたり思い浮かぶ問題のひとつに、熱膨張率の高さ、つまり温度変化で伸び縮みして不具合を招くんではなかろうかという事が挙げられますが、結論から言いますと全く問題ないと言えましょう。
銅の熱膨張係数は16.6との事で、30℃の温度差で1mの銅が約0.5mm伸び縮みするという計算。
アルミはと言いますと熱膨張率23と銅よりも大きく、30℃の温度差で1mのアルミが0.7mm伸び縮みする計算。
これらは湿度によるキャンバスの伸縮幅より小さいと思われます。
支持体は完全に不動であれば良いかというとそれもちょっと疑っていて、絵具層自体が動的でありますから、同じタイミングで同程度に伸縮してくれる支持体が理想であると言えるんじゃないでしょうか。つまりその意味では同じ成分で描かれた下層が上層にとって最良の支持体であると言えるかも知れません。
今のところ絵具層がどういう環境でどの程度動くのかのデータは持ち合わせていませんし、同じ動きをする支持体を選出する事はできませんが、こういう事もそのうちわかってくるんじゃないかと期待します。
ま、絵具の層なんてのは顔料や油・樹脂の種類や分量が部位や層によって複雑に異なる複合体なので一律な動きなんかするわけないんですけどね。
もうひとつ、熱伝導率の高さも金属支持体の特徴の一つと言えます。
これは温度による絵具(乾性油)の乾燥速度変化として影響してくる可能性が考えられます(※)。
※油絵具に含まれる乾性油は温度により乾燥速度が変化し、気温の低い冬場はなかなか乾かず夏場はすぐに乾く。
特に冬場などはキンキンに冷えますから全然乾かないかも知れません。
しかしこの性質も逆手にとれば、たとえば裏側からストーブなどで温めればキャンバスより熱くなるはずなので、冬場も速く乾かせるかも知れません。
今冬の制作は部屋を温めながら描きましたので、通常のメディウムで普通に乾かしながら描けました。(下の作品とは別です)
X IV MMXV[180x180mm]
銅板に油彩
Oil on Copper