画材店のほか、ホームセンターでも手に入る白くて安いマスキングテープは経年によって、また貼ってしばらく放置してるうちにベトベトになってしまい、これには私も悩まされました。
マスキングテープの粘着剤にはゴム系とアクリル系がありまして、ゴム系のものは長期保存や高温・紫外線に弱く、のり成分が対象物に残ってしまったりもするようでこれがベトベトになるマスキングテープ。
対して「糊残りの少ない」を謳う製品はアクリル系が多く、建築向けや車両塗装向けの製品によく見られ、水色、紫、緑など色が付いたものばかりです。
その事に気づいてからは「とりあえず色ついたの買っとけ。」といった感じでおりましたが、色紙でもゴム系粘着剤のものも存在するので、ちゃんと調べてから買いましょう。
ちなみに業務用マスキングテープは複数巻が筒状に包装されたセット販売が主で、テープ幅に応じて入数が異なります。※数年前まで紙包装でしたが、最近は透明のポリプロピレンやポリエチレン包装になっています。
だいたい同じ背丈になる個数で包装されてますので、12mm幅のものは10巻セット、50mm幅のものは2巻セットといった感じで、幅の狭いものは個人で買うには多すぎる傾向にあります。
ただアクリル系のマスキングテープは数年間保管しておく程度ではゴム系のようにグニャグニャにはなりませんので、地道に消費するなりお友達とシェアするなりしてください。
▼左:6年前購入のNitto No.720A(アクリル系) 右:2年前購入のニチバン No.251(ゴム系)
というわけで、各メーカーの特長をまとめたのち、「糊残りやべとつきが無い」マスキングテープを粘着力の弱い順にランキングして参ります。
貼り剥がしを繰り返す梱包、対象物を痛めたくないテープ止めから油彩画表面や機材のホコリ取りまで、自己責任で活用してください。
なお、新たに調査済み・入手済みのマスキングテープもありますので暇を見て更新して参ります。
─ 各メーカーの特長(所感)─
・ニチバン
アクリル系の弱粘着タイプのマスキングテープが多く見られるメーカー。
ここに掲載する製品のテープ表面は概ね平滑で少し光沢があり、微妙にパリっとした紙質。鉛筆はかろうじて書ける程度で水性ペンも少しはじくが書けなくはないといった感じ。
「無溶剤」ではあるけどもNo.222、No.227はちょっと独特な匂いがします。対して品番4桁台の2311、2312は同系の匂いですがさほど強くはなく、これは出荷時期などが関係するのかも知れません。
・Nitto
・ニトムズ
Nittoとニトムズ、グループ会社内で異なるパッケージデザインの同じ製品を販売したりと混乱しますが、ニトムズには装飾用マスキングテープのラインナップもあります。
概ねテープ表面はニチバンより少しマットかなという感じではありますが、鉛筆のノリはニチバン同様。弱粘着のアクリル系ラインナップは少なめの様です。
・カモ井
業務用もさることながら、装飾向けのPOPなマスキングテープも積極的に展開しているメーカー。業務用としてはなんと言っても超弱粘着の「ミント」。また一般向けに展開するmtシリーズのマットブラックなどはマニア御用達と言えるでしょう。
製品シリーズによって紙質などは異なるので、下記のランキングにて個別に表記します。
・3M Scotch
3Mもグループ会社間でパッケージの異なる同じ型番製品などがあるようで、さらには3Mのサイトに掲載されたScotchブランドの製品がScotchのサイトで検索できないなど調べるのが大変です。
紙質は最も光沢がありパリっとした感じ。鉛筆は全く乗りません。
─ マスキングテープ 弱粘着ランキング ─
説明文の右側にはスケッチブックに貼り付けた現物画像を掲載しています。クリックで拡大しますので確認下さい。透け感を確認するため黒いラインの上にマスキングテープを貼り、その上に2B鉛筆、水性ペン、油性ペンでのノリ具合をチェック。加えて油性ペンが薄すぎたので同じく油性のマッキーも試しています。説明下部には商品へのリンクを掲載していますが、業務用はテープ幅のラインナップが豊富なのでリンク先ではそれら入り混じっています。注意してご覧ください。
tesa マスキングテープ 4333
tesa® Professional 4333 PV1 Precision Mask® Sensitive
1956年にアクリル粘着剤を初めて導入したというドイツのメーカー。
これを知るまではカモ井のミラクルミントが最弱粘着でしたが、オレンジブック.comのマスキングテープを全部調べているうちに発見しました。
※↑メーカーHPには非掲載の寸法一覧アリ。
一巻が50mと長く、ここに掲載している他のマスキングテープとは異なるサイズでいわゆるガムテープと同じ径の大きなものです。
薄いピンク色で表面は少しツヤがあるものの、マーカー類の乗りも良く鉛筆でも書けます。
少し割高感はありますが蛋白で視覚的なやかましさも無く、テープ上に書いた文字も視認性が高いので良いテープだと思います。
粘着剤:アクリル系
粘着力:0.5N/10mm
基材:平面紙
サイズ:幅 19, 25, 30, 38, 50mm (50m巻)
Amazonではなぜか「tesa」「4333」などのキーワードでは見つからないので下記からどうぞ
カモ井 ミラクルミント
※上記リンク先はPDFファイルです
とにかく粘着力の弱い、超弱粘着マスキングテープですが、実際にちょっと使ってみた感じでは「ミント」と区別がつかない。
とは言っても完全にツルツルな対象にはそれなりの粘着力を示します。
ラワン合板のようにざらついた面に対しては、数時間~数日内に剥がれて落下していたりします。
紙に貼り付けても剥がす際に痛める事が無く、画用紙などをカルトンに貼り付ける際に重宝します。
紙質はしなやかで表面はややマット。鉛筆はまあ、読める程度に書けるし水性ペンもはじかないので、すぐに剥がれてしまうポストイットの代わりにも使える。(色が濃いので書いた文字が読みにくいのが難)
手でちぎる際、他社製と比べてまっすぐ切れません。
粘着剤:アクリル系
基材:和紙
粘着力:0.60N/10mm
サイズ:幅 15, 18, 21, 24, 30mm(18m巻)
カモ井 ミント
※上記リンク先はPDFファイルです
超弱粘着マスキングテープ。これの後にミラクルミントが発売されたようです。
メーカーサイトの説明には「貼り置きしても粘着力が上昇しにくいため、被着体に優しい。発泡塩ビクロスに貼っても表面をほとんど傷めずに作業でき、汚染もしにくい。石膏ボード表面の薄紙でも、下地を傷めることがほとんどありません。」とあります。
ラワン合板にキャンバスの四隅を貼り付けてみたところ、数十分の間に剥がれてくるので何度も押さえなおす必要があった。それくらいの弱粘着。
ミラクルミントとテープ本体は全く見た目も変わらないので区別できません。前者同様文字も書けるのでポストイット代わりにも。
手でちぎる際、他社製と比べて最もまっすぐ切れません。
粘着剤:アクリル系
基材:和紙
粘着力:0.79N/10mm
サイズ:幅 15, 18, 21, 24, 30mm(18m巻)
「3M 建築塗装用マスキングテープ 777」の後継品。
3Mのマスキングというと黄色いテープというイメージが強いですが、こちらの方が弱粘着。
表面はツルツルしていて少しパリッとした紙質。
鉛筆は乗らず水性ペンは弾く。文字を書くなら油性ペンで。
粘着剤:アクリル系
基材:水色平面紙
粘着力:1.0N/10mm
サイズ:幅 6, 9, 12, 15, 18, 20, 21, 24, 30, 40, 50mm(18m巻)
3Mの定番マスキングよりも薄い黄色。数値的には3Mの黄色いマスキングと粘着力はほとんど変わらないが連続して指へのくっつき具合を比べると多少違いが分かる程にこちらが弱い。
表面は3Mほどではないがツヤがありパリっとした感じ。水性ペンは弾く。鉛筆はかろうじて付く程度。
粘着剤:アクリル系
基材:和紙
粘着力:1.02N/10mm
サイズ:幅 9, 12, 15, 18, 20, 24, 30, 40, 50mm(18m巻)
2021年5月発売のアクリル系弱粘着マスキングテープ。
ゴム系のNo.252とは別なのでご注意。
※未購入
粘着剤:アクリル系
基材:和紙
粘着力:1.03N/10mm
サイズ:幅 12, 15, 18, 20, 24, 30, 40, 50mm(18m巻)
ちょっと匂いがキツイ。粘着力についてはミント以外はなかなか違いが分からず、色の好みで選択していい気がします。
紙質は2311に準じ、油性ペン以外で文字を書くのには向かない感じです。
粘着剤:アクリル系
基材:和紙
粘着力:1.05N/10mm
サイズ:幅 12, 15, 18, 20, 24, 30, 40, 50mm(18m巻)
黄色いマスキングテープを見かけたら3M(スリーエム)の製品…と思うほどの定番。
それを真似てか、ノーブランド品でも黄色いマスキングが出ていたりもしますが。
紙質は2899同様、つるつるしていて鉛筆は全く乗らず水性ペンは弾く。
粘着剤:アクリル系
基材:和紙
粘着力:1.06N/10mm
サイズ:幅 6, 9, 10, 12, 15, 18, 20, 24, 30, 36, 40, 50, 60mm(18m巻)
カタログ値も紙質も243J Plusと同じ。芯材も全く同じで区別がつきません。
粘着剤:アクリル系
基材:黄色平面紙
粘着力1.06N/10mm
サイズ: 幅 12, 15, 18, 20, 24, 30, 50mm(18m巻)
紙質などNo.2311に準じます。言われてみれば若干こちらの方が粘着力強いかなという気もするけど、ブラインドテストでは区別がつくかどうか怪しい程度の違い。
鉛筆はかろうじて乗る程度。水性ペンはたまたまなのか同社中最も良く書けます。
粘着剤:アクリル系
基材:和紙
粘着力:1.09N/10mm
サイズ:幅 9, 12, 15, 18, 20, 24, 30, 40, 50mm(18m巻)
未入手。アクリル系のマスキングテープで白色は珍しい。
同社には「紙粘着テープ H210」なる個別包装のラインナップも存在し、そちらと同じものではないかと思われます。後者は12,18,24mmの3種。
後者の説明には「油性インクで字が書け、重ね貼りができます。」との表記がありますが、特にテープ表面に他のラインナップと違いがあるのか、単に白いテープなので文字書いても目立つと言ってるだけなのか疑問です。
粘着剤:アクリル系
基材:和紙
粘着力:1.09N/10mm
サイズ:幅 9, 12, 15, 18, 20, 24, 30, 36, 40, 50mm(18m巻)
No.222同様、少しキツイ匂いがします。粘着力の差は指で確認してもわかりませんが、ビニールなどにくっつけて剥がした際にはNo.222よりも強いかなと感じます。
鉛筆はかろうじて乗る程度。水性マーカーは同社中で最もはじく。
粘着剤:アクリル系
基材:和紙
粘着力:1.14N/10mm
サイズ:幅 12, 15, 18, 20, 24, 30, 40, 50mm(18m巻)
─ その他の製品 ─
数値的に弱粘着とまでは言い難いかなという手持ちの製品をご紹介します。
カモ井 マスキングテープ“BIG BOSS”(車輌塗装用)
※上記リンク先はPDFファイルです
最外周は紙質が異なり光沢がありますが、それでも水性ペンはしっかり乗ってくれます。
ホームセンターでたまたま見つけたので衝動買い。
使用感などは後日追記します。
粘着力:1.80N/10mm
基材:和紙
粘着剤:アクリル系
サイズ:幅 12, 15, 18, 20, 24, 30, 40, 50mm(18m巻)
アクリル系粘着剤のマスキングに気づいた初期の頃にたまたま購入したもの。
これくらいの粘着力でもセロテープや養生テープより簡単に剥がせるので、エアパッキンなど梱包材のテープ止めに重宝しています。
粘着剤:アクリル系
基材:和紙
粘着力:3.3N/18mm (1.83N/10mm)
サイズ:幅 12, 15, 18, 20, 24, 30, 40, 50mm(18m巻)
※上記リンク先はPDFファイルです
テープ最外周にはシリコンのような剥離剤が塗布されている感じで指がツルツルし、鉛筆、水性は完全に弾きましたが、一回り引き出してみると水性ペンでもしっかり書けます。
粘着力:2.18N/10mm
基材:和紙
粘着剤:アクリル系
サイズ:幅 12, 15, 18, 20, 24, 30, 50mm(18m巻)
もう随分前になるけど画家の河本いづみさんから教えてもらったもの。
マスキングとは違いますが、糊残りが無いという事で教わった気がします。
製図用のテープで肉厚。貼ったり剥がしたりの繰り返しを前提にしたものかと。
粘着剤:特殊ゴム系
基材:上質クレープ紙 粘着力:2.8N/10mm
サイズ:幅 12, 18, 24mm (30m巻)
多少お高い個別包装タイプのマスキング。
紙質はマットで反射が無く「紙」といった感じ。
にもかかわらず鉛筆は薄め、水性ペンも少しはじく。
50mm, 100mm幅のものは「mt CASA」シリーズに属するが、以前からある15mm幅の「mt マットホワイト」とおそらく同じもの。
粘着力:不明
基材:和紙
粘着剤:アクリル系
サイズ:50, 100mm (10m巻)
リフォーム工事の際、経年劣化した床材や枠材を養生したときに表面が剥げた
それから低粘着テープを探してこのサイトに辿り着きました
粘着力を数値化してあり、とても参考になりました
情報が古くなっているかもしれないので是非更新してもらいたいものです
ありがとうございます
コメントありがとうございます。長らく気づかずにすみません。
記事投稿の2019年以降も少しですが追加や更新を行っています。
ただ頻繁にチェックしているわけではありませんので、お気づきの点がありましたらお知らせ頂けますと助かります。