再び 糸張り画枠(oversize strainer)

今までのお話 → 「糸張り画枠」 「続・糸張り画枠
糸張り画枠の描かれたGerrit Douの作品画像が見つかりました。
今度の画像は大きく、どのように糸が張られていたのかがハッキリと確認できます。

木枠に空けられた穴に通してあったり、木枠にくくりつけてあったり、結構めちゃくちゃです。
解説によると、木枠に空けられた穴とキャンバスのたわみが一致していない理由については、この画家は自分で地塗りを施したのではなく、プライマー(地塗り職人?)から購入したキャンバスを自前の木枠に張り直した為だろう…と書かれています。
地塗りを施したキャンバス生地はさほど伸び縮みしないので、他の木枠に張り替えたとしても地塗りされた時の形が残っているわけです。
しかし17世紀に地塗り職という職業が存在したんでしょうかね。
実はこの画像及び解説は、レンブラントの研究本に載っているもの。
本の中身が一部見られる、Googleのブック検索で発見しました。
どうも日によって閲覧可能な範囲が変わっているので、いつかは該当部分が読めなくなるかも知れませんが。
こちら
かなり充実した内容ぽく、安価なペーパーバックも出ているので英語読める方はいっちょ買っときましょう。


Rembrandt: The Painter at Work
著者: Ernst van de Wetering
出版社: Amsterdam University Press, 1997
ISBN 9053562397, 9789053562390
340 ページ

▼上の画像と同じくGerrit Dou作。木枠にくくりつけられてます。

▼V.van der vinneのエッチング。右奥に糸張り画枠

17世紀には、作品を描き上げた後にキャンバスを切り抜いたり継ぎ足したりと、製作後に大きさの変更がなされる事が多々あった様です。
そんな中で糸張り画枠の利点として、木枠から浮いたキャンバス布地は地塗りに有利であること、作品毎に木枠を準備しなくて良いこと、効率的に張り替え・張り直しができること…などが挙げられています。
他にも一回目のブログ記事に書いていた謎部分、糸張り画枠で描かれた作品が最終的な木枠へ張られる場合、「枠の裏側にまつりつけられるか、縫い糸を通して引張るかしている」…の現物写真も載っていましたが、その該当ページが現在プレビューできません。
まあ本が届いて解読作業が進めばまた書くこともあるでしょう。
という事で今日はここまで。

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