天然ウルトラマリンの抽出 ~粒子径

ラピスラズリを砕くにあたり、「顔料は細かくするほど色味を失う」との事ですが、実際にはどうなのでしょうか。

色味に関しては毎度言ってる通りお使いのパソコンによって発色がまるで違うので参考程度にしかなりませんが、上記画像の左右で色が違う事は判るかと思います。
これ、元はまったく同じ物です。
右の顔料を、乳鉢でさらに細かくすりつぶしたものが、左になります。※
粒子径が細かくなるほど色が薄くなるというのは理解できますが、色味自体が変わってしまっていますね。
この現象は一体何なのでしょうか。
※右の顔料はラピスラズリを砕いて出た粉のうち、250メッシュ(空間目0.062mm)を通過したもので、乳鉢によるすりつぶしはしていません。顔料としてはかなり大きな粒子になるだろうと思います。
力が加えられる事によって何か化学変化を起こすのか。
はたまた摩擦による熱によって、顔料が「焼かれて」しまったのか。(ラピスラズリは熱に強いとの事ですが)
削られた乳鉢・乳棒の粉が、何らかの影響を及ぼしているのか。
以前、自分でラピスラズリを砕いて作った顔料の方がRUBLEVのラズライトよりも発色が良かったとの記事を書きましたが、単に粒子径が大きく、その分色が良かったというだけの事かも知れません。
画像の様に、細かくすり潰したものほどRUBLEVのラズライトに近い色になっています。
ある程度粒子は細かい方がマチエールも滑らかになるし扱いやすいんじゃないかと思います。
しかし一方細かくするほど、発色は悪くなる。
この粒子径の違いはウルトラマリン抽出後の色にも影響してくると思われます。
顔料をどの程度の大きさにするのか、見極めどころがむずかしいところですね。

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“天然ウルトラマリンの抽出 ~粒子径” への6件のフィードバック

  1. SECRET: 0
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    粒子間の屈光率が変化するか、液体中では粒子の隙間での吸光が起こるか……。
    化学変化ということはないと思います(^^;
    でも素人目に見てわかるほど色が変わってくるとなると、大変ですね

  2. SECRET: 0
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    「大きい粒子の顔料は光の透過距離が長いので暗く(色濃度深く)見え、小さい粒子の顔料は光の透過によるロスが少ないのと不光の錯乱で明るく(色浅く)見える傾向にあります。」そうです。(画材Q&A日本画編)
    明るさどころか色調がかなり違いますね。
    粒径が大きい方は紫がかってて、ナチュラルピグメントの絵具に近いかんじ
    ですね。

  3. SECRET: 0
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    >くろす氏
    ラピスラズリには様々な鉱物が含まれており、主成分には硫黄が含まれています。
    しばしば含まれる黄鉄鉱は硫黄と鉄から成ります。
    これらを乳鉢ですりつぶす事で硫化鉄などが作られるのかもと考えたのですが…
    他にも化学変化を起こして然るべき組み合わせの成分があるかも知れません。
    すり潰す程度のエネルギーで化学変化が起きるのかどうかですが…
    >フルヨシさん
    彩度・明度に違いが出るのは当然と思いますが、色相が変わってしまうというのが腑に落ちないところなんですよねぇ…
    すり潰す前の方がより鮮やかで赤み(紫)が多く、実物を並べてみると、すり潰した左の方がnaturalPigmentのラズライトに近い色です。

  4. SECRET: 0
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    普段定期的に興味深く拝見させて頂いております。
    顔料の粒子が細かくなるほど色味が明るく、浅い感じになるのは日本画をされている方ならごく自然に理解している現象だと思います。
    やはり屈折率の問題らしいです。科学的なことは良く分かりませんが。。
    ネットで調べれば何らかの情報はあると思います。
    日本画家の方々は顔料を摺るときに求めている色味を予想して摺るらしいです。
    実際に塗るときも、粗い粒子で深い色調のものからだんだん細かい粒子の明るい色調のものへ少しずつ膠の濃度を調整(薄めていく)しながら重ねて行かなければいけないらしいです。
    私も専門ではないのでなんともいえませんが、希望の色味を作るには適切な粒子の大きさをある程度コントロールできるようにならなければいけないのかもしれません。日本画のプロの方のお知恵をお借りするのも手かもしれませんね。
    鉱物自体の純度もあると思うので安定させるのは至難の業かと思いますが頑張ってください。
    これからも楽しみに拝見させて頂きます。

  5. SECRET: 0
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    付け足しで済みませんが、ちなみに色調が変わってしまうのも不純物の粒子の大きさによって反射する色、吸収される色が変わってきてしまうからなのかもしれません。

  6. SECRET: 0
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    >あ さん
    いつもご覧頂きありがとうございます。
    たしかに日本画では顔料の大きさ毎に番号を振って分けていますね。
    膠に溶かす時も指を使いますし、粒子径に対する感覚や色との相関性については洋画家よりも敏感なのだろうと思います。
    仰る様に日本画の方に伺えば良い話が聞けるかも知れません。
    もっとも、膠水の屈折率と油の屈折率は異なりますので、油絵の具にした際にどうかというのは油彩の人間でないと判らないでしょうけど。
    色味の変化が避けられないものであれば、粒子径の異なる顔料を故意に混ぜて調合するという事も考えてはいます。絵の具にした際の使い勝手如何ですが。。
    とりあえずは抽出後の色の確認を、そしてそれを油で練った際の違い等の検証をしてみたいと思います。

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