ルフラン製メディウムボトルの開かないフタ

ルフラン製メディウムのボトルのフタは、押さえながら回さないと空回りするのみで開かない仕組みになってます。

これがまた力が入らず、固まってしまったフタはなかなか開けにくいのです。
更にこのフタは二重構造になっているので熱が伝わりにくく、温めても開いてくれません。
じゃあ分解してしまいましょう。

どりゃあ
ポンと。
右上が内蓋。

外蓋の内側についてる羽根みたいなのが内蓋の凹部にひっかかり、閉まる方向へは回すだけで閉まり、開ける方向へはひっかかるものがないので空回りするのみ。
フタを押さえると羽根が押さえられ、内蓋外周に設けられた古城の塔みたいな凸凹に、外蓋の凹凸が食い込んで左右どちらにも回せるようになるという構造。
外蓋の材質が柔らかいので、よく見るとその凸凹が欠けてしまってますよ。
改善希望。
ルフランのメディウムボトルは開かなくなってきたら分解して外蓋は捨てちゃいましょう。

続・糸張り画枠

以前記事にまとめた糸張り画枠。
17世紀オランダでしばしば用いられたもので、作品製作の際、キャンバス生地よりも大きめの木枠に糸でもって張るというもの。
「糸張り画枠」の描かれた一枚の絵と想像からの推測だったのですが、以前は以下の様に締めくくりました。

木の枠に糸で宙づりにしたのではブヨブヨして描きにくいだろう。よって「木枠」に張られたのではなく「板」に張られたのではないか。もしそうであれば「糸張り画枠」ではなく「糸張り画板」と呼ぶべきではないか。

先日、フェルメールについてやたらと詳しそうなサイトを眺めている時に、糸張り画枠の絵を発見しました。

“Gerrit Dou(1613-1675)”によって描かれた作品の様です。
これは明らかに「画枠」です。キャンバスと木枠の間に空間があるのがハッキリとわかります。
恥ずかしながら不勉強で”Gerrit Dou”なる画家が誰なのか存じ上げませんでしたが、レンブラントの弟子だそうで。 参考:Wikipedia

そーいや”石鹸の泡を吹く少年と静物”は国立美術館でデ・ヘームの隣あたりにありましたね。
フェルメールはしばしばDouの作品を参考にして作品を製作した様です。
チラっと検索してみましたが、この糸張り画枠の描かれた作品のタイトルや他の大きい画像等はまだ見つけられてません。

今のところ上記フェルメールのサイトで見つけたこの小さい画像しか「木枠」であったという証拠(?)は無いのですが、もうすこし注意深く観察してみるとしましょう。
木枠に等間隔につけられた黒い点。クギにしては点が大きすぎる気がしますが、穴でしょうか?
布のたわみ具合を見てみると、キャンバスは全てのクギ(だか穴だか)に対して糸で張られているのではなく、縦軸に関しては一つ飛びくらいの間隔になっています。

クギにしろ穴にしろ、使い回しの為にあらかじめ木枠に施しておかれ、キャンバスの大きさによって糸を張る位置等、調整したのでしょう。
引っ張られた部分と黒い点の位置関係は概ね対応してますが、右の縦軸に一箇所、明らかに位置がズレている箇所があり気になります。


黒い点は単なるマーカーだったりして。
※この記事には続編があります。

菱形アタッチメント

菱形の作品をたまに見かけますが、私も描いてみようと(ずいぶん前に)思い立ちました。
真四角の規格であるSのキャンバスに描くのですが、これを”傾けて”固定する必要があります。
で、つくりました。
キャンバスを菱形に立てるだけなら上下から三角で押さえれば良いんですが、腕鎮を支える為の横桟が必要だし、通常のキャンバスも使えるようにと設計したので、結構大きいモノに…。
かなり重いので、もちっと細い木材で作るべきでした。
使用した木材は1×4のSPF材。
材料費は1,000円くらいでしょうか。
アタッチメントはスチール製の折りたたみイーゼルに乗っけて使います。
…が、これをこのまま改造して将来的に自作イーゼルにしてしまおうかとも。

▲この様に腕鎮(竹の棒を使用)を置く。(キャンバスはS3号)

左右の縦板にトリマーでスリットを空け、裏側からボルトを差し込んで可動横板を通し、手前は蝶ネジを締めて固定するスタイル。
▲この板が上下に動き、S8号まで対応する。

もちろん四角いキャンバスも固定可能。
F10号縦までくらい使えるハズです。
もっと大きいものでも可動横板を外せばOK。
私は横長変形のキャンバスが好きなのですが、下に垂れた布などを描きたいなと思う時があります。
そういう時に菱形のキャンバスだと、水平方向も下方向へも結構広く取れるので、下に垂らした布を「見せる」事ができます。
しかも四辺が斜めにカットされるのでなかなか面白い構図になります。
ううむ、これは魅力的。
今回のものは重いしS8号までしか使えないので、またいつか大きい作品用に作る事でしょう。
…という事で、菱形作品がいくつか登場する予定です。
おたのしみに

チャコペン

チャコールペンシル2種。

上はVAN GOGH製。

削る手間はあるが、折れる心配しなくていいし、手も汚れない。
軽くなぞって濃い線が描け、練り消しでキレイに消えるので描いて消しての多い私には向いております。
良いですよこれは。
画像のものは”soft”でかなり柔らかい。
もうちょっと硬くてもいいかも。
…という事で、先日上京の折に世界堂で”medium”と”hard”を買って参りました。
レビューはまた後日。
下はGENERAL’S製。
こちらはキャンバスに描くと練り消しでこすっても、鉛筆と同じように跡が残る。
“SOFT”とあるが、上のものと比較してかなり硬い。
木炭より落ちにくいようなのでキャンバスの裏に名前とかタイトル書くのに使用しちょります。(ペンだと繊維に染みるし、こういうのの方がいいかと)

糸張り画枠

古吉さんとのメールのやりとりの中で、下図の様な資料を頂きました。

画家のアトリエの様子を描いた油彩画なんですが、昔の画家は描くスタイルもオシャレだったんだなぁ~… とかそういう事ではなく、注目すべきなのは後ろの絵の方。
キャンバス布が、等間隔にクギを打ち付けた板に、糸でもって張られているように見えます。
※調べるうちに板ではなく木枠だったらしい事が判明しました
以前にも、このようなスタイルで描いていた事を解説した資料を読んだ記憶はあるのですが、なんでこんな面倒そうな事をやっていたのか… この図の載った本には「キャンバスをギリギリまで利用する為」とあったそうですが、別に糸で張らなくても布の端っこの方に頭を浮かせた状態で釘を打ち固定すりゃいい話で、どうもうさん臭いです。
興味をそそられたのでいろいろと考えた結果を、ご苦労な事に記事にしてみました。
長いので興味ない方はすっ飛ばしてください。
当時、キャンバスは麻布の生地に自分で(または弟子が)ニカワ塗りや地塗りを施していたハズで、特にニカワ塗りの時にキャンバス布は縮んだり伸びたりでシワが寄るので張り直しが必要になってきます。
また作品完成後の運搬は、キャンバスを丸めて運んだ可能性が考えられ、そうすると釘で木枠に固定して描いても、どのみち外さなければなりません。
この張ったり剥がしたりの作業、キャンバスをクギで直接板や木枠に打ち付けるより糸で張った方が張り・剥がしが楽だったのではという仮説1。
しかし図のように板の上にキャンバスを置いてニカワ塗りするのは、布の裏にニカワが染み出た場合、キャンバスが後ろの板とくっついてしまう事が危惧されます。
そこでニカワ塗りや地塗りは別の、板ではなく木枠に張ってやっておき、描く時にこの板に張り直したのではないかとも考えられます。
その様に張って剥がしての作業が多ければ、糸で張る事の利点が見いだされて来る気がします。
まあニカワ塗りくらい裏に染み出す事の無い様、完璧にやれないとダメなのかも知れませんが。
これは余談気味ですが、糸で張っている部分が弓状にたわんでいるのが見えます。
この”弓張り模様”は、ニカワ塗り~地塗りの時に出来るもので、地塗りが済んだキャンバスを糸で引っ張ってもこんなには伸びません。
なので、地塗りの際、釘で固定したか糸で張ったかはわかりませんが、とにかく図の中で糸を結んである部分が固定されていた事は間違い無いでしょう。
さて次。
この等間隔にクギを打った板を使い回す事で木枠を節約していた。 …とする仮説2。
つまりこのクギを打った板を用意しておけば、それ以内の大きさのキャンバスであれば糸で張って描けばいいので、作品毎に最初から木枠を用意しておく必要がないという寸法。
歴史上、絵画の類は額に合わせて、或いは構図的な理由で、描き上げた後に作品の大きさを調整する事がよくあるそうで。
作品を後からカットしたり継ぎ足したりが頻繁に行われたのであれば、最初から作品毎に木枠を用意して描いても、その木枠がムダになってしまうわけです。
不要になった木枠を次回また使い回すにしても、釘で留めると穴が空くので回数に限度があります。
また、先にも述べた様にキャンバスは丸めて持ち運んでいた可能性があり、どのみちキャンバスは剥がすものであれば製作前から木枠を用意しておく必要がありません。
今の日本の様に木枠とキャンバス布は常に一体であるという感覚ではなかったんではないでせうか。
このような理由から、繰り返し張ったり剥がしたりができるようにと、糸で張っていたのでは。
古吉さんのブログで以前取り上げられてましたが、イタリアの美術学校ではキャンバスをパネルにテープで貼り付けて描いて、後で切り抜いて木枠に張るのが常との事です。
昔は粘着テープなんか無かったわけで、糸で張るこの方式は、感覚的にそれに近い事だったのではないでしょうか。
ここまでグダグダ述べておいて何ですが、はたと思い、いつか買っておいた「絵画鑑識事典(美術出版社)」をパラパラめくってみると…
回答が載ってるじゃないですか。
しかも同じ絵が載ってる…。

糸張り画枠
キャンバスはくぎによって枠の上に固定されるのではなく、糸を用いて張られる. その他に2つの方法を組み合わせた張り方もある. 例えば隣接する2つの側を釘づけし、残る2つの側は糸で固定する. この方法には寸法に合わせて画枠を新調しなくとも小さいキャンヴァスの端切れを経済的に利用できるというメリットがあった. 糸張り画枠の伝統はオランダの画家のアトリエの作品に伝えられた.
糸張り画枠は17世紀オランダ絵画にみられる特殊な現象だったようである. ある絵画が糸張り画枠に張られて描かれたかどうかは折り込みが全くないか、あるとしてもごく僅かで枠の裏側にまつりつけられるか、縫い糸を通して引張るかしていることから判断できる.
「絵画鑑識事典」《美術出版社》

参照図として以下の写真と更に解説が書かれてます。

17世紀オランダの画家のアトリエを題材にした作品には、糸張り画枠を使用している描写が時折見うけられる。絵が糸張り画枠に張られて描かれたかどうかは、折り込みが皆無か、それともごく狭い幅であるかによって判別できる。因みに、折り込みは周辺に沿ってぐるりと縫いつけられたか、糸を用いて張られたかしたものである

「絵画鑑識事典」《美術出版社》

糸で張って描いて更に、木枠に張る際も折り込み(キャンバスを木枠に固定する際、側面に折り込み釘を打つ部分)を縫い足していたなど、めんどくさい事この上ない作業をなされていた様です。
しかし周辺に布を縫いつけるんであれば最初からその分大きめの布にしておくか、折り込み部分を考慮して小さめに描きゃいいのではと思うんですが。
「枠の裏側にまつりつける」「糸を用いて張られた」というのが具体的にどういう状態なのかわかりませんが。釘は使わずに糸だけで木枠に固定したという事なのか…
どちらにしても絵の具の載っている部分を極限まで表に出すようなこの張り方を見ると、「キャンバスをギリギリまで利用する」という冒頭に述べた解説があながちウソではない様でもあります。
しかし糸張り「画板」ではなく「画枠」と言っているところが気になります。
実は板の様に見えていたものは、木枠だったのだろうか。。
木枠であればニカワ塗りから製作まで一貫して同じ枠で製作可能に思えますが。
しかしキャンバスは空中に浮かぶ事になり、糸で引っ張るくらいの張力では相当ぶよんぶよんして描きにくそうな気もします。小さいサイズのキャンバスではなおさら…というよりムリでしょう。
なので、正確には「糸張り画板」とするのが正解なのではと、これも個人的見解です。
※この記事には続編があります。

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