書きかけで放置したままの製作過程記事に載せてる作品が現在地元美術展に出してるものだったので、これを機にちょいと手直しして投稿します。
まずは褐色で明暗を確認しながら進めるやり方。途中結構すっとばしてます。
現代の鉛白は透明なのであらかじめ明部には白を置いておくと後の着彩がやりやすい。
ただし厚塗りするとマチエールが後に響くので気をつける。
着彩に不透明なチタン白を使うなら不要かも
早めにハイライトも入れて形と雰囲気の確認をする。まずければメスで削り落とせばいい
対していきなり着彩するやり方。(部分。過程を逐次撮影してませんでしたので悪しからず)
立体感を重視する描写の場合、重要になってくるのは明暗表現ですから、ざっくりとしたモノトーンから描き始めるやり方は失敗が無く進められ、ある意味効率的と言えるでしょう。下描きの線だけよりも完成図を想像しやすいですから。
特にヴァルールの感覚が未熟な方はこの様な進め方が良いかと思いますし、うまい人は褐色の層を利用した暗部の透明感の演出ができたりします。
ただし白と黒で描いたグリザイユに着彩してゆくのは技術的に困難です。
対していきなり着彩する手法は、スピードとしてはこちらの方が早く描けます。
でもかなり慣れていないと部分ごとに調子が狂ったり失敗しやすいので注意が必要。
ヴァルールも色彩も周囲に影響を受けるものですから、描いてる部分だけを見れば成立していても、周りを描き足した途端に色彩が沈み立体感が失せるという事がよく起きます。
上に挙げた後半の画像の様に本当に部分だけを仕上げていくのは決してお薦めはできません。
大雑把にでも周囲も平行して色をおいていくべきです。
エスキースで十分にヴァルールや色を確認して決めておけば、本番はいきなり着彩で良いと思います。
キャンバスの上で試行錯誤するのが絵画だと言われる向きもあるかも知れませんが、度が過ぎるとナンセンスです。
そんなのは別のキャンバスでやって本番はバシっと決めりゃいいだけの事ですから。
私はよく描き方を変えます。
部分的に仕上げながら、ヴァルールのバランスを確認するために手を付けてない部分には褐色を置くなんて事もやりますし、自分のそういうところをみても、一部の情報だけかいつまんで「この絵描きはこういう描き方している」という決め付けはしない方が良いと感じています。