こちら と こちら の続きです。
今回はちゃんとカラースケール置いて5000Kの色評価蛍光灯下で調整してみました。
全く日の当たらない屋内で、他の資料の下敷きになっていた油のサンプル(2012年11月9日塗布)を引っ張りだして見ると前回より更に黄変は進んでおります。
傾向としては前回同様、漂白加工してあろうが容赦なく黄変しており、スタンドオイルが最も変化が少ないかと。
黄変はいいとして今回はマチエールに着目します。
リンシードなどを空気に晒した状態で放置した事がある方はご存知でしょうが、乾燥するにつれシワが発生する事はよく知られているかと思います。
油絵の具にもやたら油を添加しすぎると皺が寄ってしまいますので、多すぎる油は避けられるべきと言えましょう。
このサンプルにおいてもいくつかではシワが発生しております。
画像をクリックして大きな図で確認下さい。(以降は画像の色テキトーです。あしからず)
生のポピーはキャンバスに吸収されて表面にほとんど残っておりません。
マツダのサンブリーチュドポピー(正確な製品名はこちら)は少し残っています。
最も粘性の高いサンシックンドポピーは、ポピーにありながらシワが発生しています。
同社ボイルドリンシードはゴミが邪魔してよく判りませんがこちらもそんなにひどくはない。
マツダのサンブリーチュドリンシードには細かいシワというか凹凸が多く見られます。
スタンドオイルはキレイなもんです。
ルフランの重合リンシードもグチャグチャなっててわかりにくいですがなめらか。
同社リンシードはてきめんですね。
サフラワーも生ポピー同様吸収されて無くなってます。
乾燥も遅くベトベトしててダメだこりゃと思っていたのですが、最も硬く、べとつきは全く無くなっています。
以前は散々に言っていたマロジェのメディウムですが、ポピーとサフラワーを除くサンプルが今でも弾力を帯び若干の粘着性(指が吸い付く感じ程度)を持つのに対し最も硬く乾いた感じになっております。
今までの経過を見てまとめますと、
・生のリンシードは黄変が強く皺も多い。
・スタンドオイルは黄変も皺も発生しにくい。
・ポピーでも皺ができる。(非加工ポピーは不明)
という事になります。
スタンドオイルはより長い時間をかけて酸化重合してゆく油ですので、もっと時間が経ってから後に皺ができてくるのかも知れませんから、現時点であまり優秀だと結論付けない方が良いと思います。
また当たり前ですが実制作においてこんな分厚い油の層が出来てしまう事などありえませんから、特に素人の方は「へー、リンシードオイル使った絵には皺ができるんだ」など短絡的なお考えをなさいませんよう。
ところで樹脂の添加によって皺の抑制ってできるんでしょうかね。
いずれテストしてみたいと思います。