世界堂 木枠レビュー

注文した世界堂の激安木枠が届いたのでマルオカの木枠と比較してみた。
パッと見は特にどうという事なく、組んでみた感じもそう悪くない。
香りも米杉のよい香りがする。
米杉は耐水性・防虫効果が強く、建材として水回りに使われるらしい。
芳香性が強く、画材屋に行くとこの香りが漂う。よい香りでアロマ効果もありそうだ。ニスなどをかけずにそのまま使われた米杉は10年たっても香るらしい。
いくつか見比べてみると、どうやら世界堂のものの方が木の色が薄い。
心材・辺材の違いなのか、木の種類、産地が違うのか、乾燥の工程が違うのか…素人にはわかるハズもなし。
細かい点を見ていくと所々違いが見えてくるが、まず世界堂は木口の処理が甘い。木を削るルーターの刃の質の違いだろうか。
▼左が世界堂 右がマルオカ製 断面のなめらかさがちがう上の画像では木目の詰まり具合が違うが、木枠によってどちらもまちまちなのでそこは差異ナシと見る。
▼おなじく左が世界堂、右がマルオカ画像ではわかりにくいが溝の角の精度が違う。これも切削機器の精度の違いだろう。
世界堂木枠は小さいサイズ(4号以下?)では角の処理を”はしょって”ある。
▼手前が世界堂、奥がマルオカ
▼メーカー及び号数の刻印
マルオカは焼き印。世界堂はスタンプによるもの。なぜかSMの号数のみ凹面加工の上に茶色の塗料が塗ってある。
0号や1号、SMは最初から組み立てた状態で売ってあるが、世界堂のものは接着剤でくっつけてあるようだ。力任せに外そうとしても、素手ではムリだった。
他のメーカーのものもそうなのかは試していない為わからないのだが…桟を使わない小さい号数の木枠は、木槌など使わずに手だけで組めたりもする。つまり比較的「ゆるい」という事だろうから、それを考えると接着剤をもってくっつけてしまった方がいいのかしらとも思う。
逆に、キャンバスは伸縮するし木材も経年によって必ず歪む。その歪みを吸収する為にも木枠の接合部を完全に固定するのはよろしくない…とも考えられる。
しかしながらたしかテレビの番組内だったと思うが、木枠の四隅に三角の板だったか斜めに角材を打ち付けてあったんだったか…とにかくそんな補強を施されたキャンバスを見た記憶もある。
はてさて、木枠は接着剤で固定あるいは補強した方がいいのか、今まで通りしなくて別にいいのか。
だれかおしえろ?
そんな事より描け。 …が正解。

半油性地

あまりよくない出来だった膠塗りも、乾けばそこそこ問題ないんじゃないかという程度になっていたので次は地塗り層に移る。
青木敏郎氏は水性の下地を推奨されてるが、今回は半油性地とする。
地塗りに使う白亜(ムードン)=炭酸カルシウムは、「粒子にばらつきがある方が良い」とどこかのサイトにあったのを参考に、地塗り用と仕上げ用の二種類を半分ずつ混ぜて使った。
地塗り材の分量は以下の通り。
・上記の白亜120g
・着色用のチタン白120g
・膠水120ml
・サンブリーチドリンシードオイル50g
※通常スタンドオイルを使うようだが「西洋絵画の~」サイトにサンシックンドリンシードの方が水との親和性がよいとあったのでそれに倣おうとした。…がしかし実は手持ちのはサンブリーチドリンシードだった。。
まあちゃんとエマルジョン化したからヨシ。
・水100mlくらい
資料にも注意してあったが乾燥はかなり早い。
小さい穴ぽこが出来てそれを潰そうと塗り直ししてると、そこだけ分厚くなってしまう。
10分もしないウチに次の層を塗る事ができた。
3層塗ると編み目は出るもののかなりフラットになったのでとりあえず完了。もう2層も塗ってやすりがけすれば完全フラットな地にできそうだ。
M8号、M4号、SMの3枚に塗りおえた時点で地塗り材は300mlほど余った。
あらかじめつくっておいた膠水の分量に合わせて作ったのだが…多すぎた…-_-;

そろそろ手持ちが無くなってきてるので、裏面利用前提として、目が詰んだ安価なオススメキャンバスあったらおせーてください。
(ちなみに今回使ったのはベルジュのG1)

続・ジェルメディウム

東京の世界堂にメールしたところ、所望した全てのルフラン製品が通販可能との事だったので注文した。
ネットで検索してもこれらメディウムの使用感などを書いたものは見あたらないので、もしかしたら本邦初のレビューを書きます。
使い込んでないので後々書き直す可能性は大。

  • フレミッシュメディウム
     今回購入した中では一番堅く、希釈するのも筆で少しずつ壊しながらでないと溶けてくれない。
    色は透明だが濃いめの茶色。かなり強いマスチック バルサム系の刺激臭がする。
    乾燥剤が入っている為、恐ろしく早く乾き出す。
    テレピンで薄めていても、少量をパレットや油壺に出しておくと2,3時間もすればどろっどろになるのでちょくちょく薄め直さないと制作できない。ヌーベルセンターのルフラン画材解説書「油彩画の技法」には、薄める際は メディウム1:テレピン2 とあるが、この分量比でもかなりトロ味のあるメディウムとなり、乾燥が早すぎる。個人的にはその倍以上薄めていいと思う。加えて、希釈にはテレピンよりアスピック(スパイクラベンダーオイル)がいい。
    試しに上記1:2の希釈分量でこのメディウムのみで描いてみたところ、つや引けに悩まされ続けていたシルバーホワイトも適度なツヤを持ったまま翌日には触指乾燥し、触った微妙な触感はシリコンのような弾力をもっている。
    もともと乾きの遅いバーミリオンはさすがに1日では乾かなかったが、2日後には乾いた。
    上記解説書には「描き始めにはごく少量を使用すること」とあるが普通のメディウムと変わらない描き方をしたので多すぎたかも。
    二層目の着色時にシルバーホワイトがツヤ引けしてしまったが、希釈分量が正確ではなかった為、上層の方が薄くなってしまっていた可能性が高い。
    乾燥が早い点を強みとして使うならば非常に短期間での制作が可能になると思う。
    乾燥があまりに早すぎる為、単独で使用するものではないのかも知れない。
    希釈にはアスピックを使い、スタンドオイルを加えるなどしてよいかも。
    マスチックを加えると更にとろみが増してしまうだろうか。
    成分は
    ・マスチック樹脂
    ・リンシードオイル
    ・スパイクラベンダーオイル
    ・乾燥促進剤

  • ラッカーメディウム
     糸を引くほどとろみが強く、若干茶色がかった透明。
    盛り上げは完全に不可能で塗るとじわじわと平らに広がってゆく。
    クセをつかめばボカシに最適かも。
    流動性が高く凹凸に敏感に反応し、凹部にメディウムが溜まる為、グレーズには注意が必要。
    乾燥剤が入っている割には乾きが悪く、5日経ってもべとつく。
    乾燥後は他者メディウムと違って乾燥後は堅いマチエール。
    「油彩画の技法」には仕上げ段階に薄く使用する事とある。
    成分は
    ・スタンドオイル
    ・乾燥促進剤
    中身の画像は後日。

  • クリスタルメディウム
     最も透明で、上記二者の中間の堅さをもつ。(バンテリンの様な感じ)
    非常にやわらかいが、筆後を残す事が可能。
    若干厚めの透明層を作れるのでグレーズに応用するとよさそうだが、乾燥が異様に遅いため実用的ではない。
    乾燥剤が入っているようだが、単独では薄くほどこしても4,5日ではべとつくほどにも乾燥しない。使用する際は相当な乾燥時間を覚悟しておく必要がある。
    ラッカーメディウム同様、仕上げ段階に薄く使用する事とある。
    乾燥後は弾力があり、堅めのシリコンのような感じになる。
    成分は
    ・ポピーオイル
    ・乾燥促進剤
    ・ペトロール
    中身の画像は後日。

  • ハーレムシッカチーフ 追記

    乾燥剤(鉛やマンガン)を含まないコーパルベースのメディウムは壊滅したのだろうか。
    ターレンス社のハーレム(シッカチーフ・ダーク)も、本家サイトにある説明には「Lead and manganese compounds(鉛とマンガン化合物), resins(樹脂), oil(油), white spirit(ペトロール)」とある。
    もはや樹脂にも何が使われているか不明だ。
    調べる内にマツダから「ペンティングコーパル・メディウム」という製品出ている事がわかった。
    Art & Craft MART [http://www.ac-fan.com/]の商品説明によると

    中油性コーパルワニス、精製アマニ油、ペトロールの三者を同量づつ調合した描画用溶き油です。
    絵具に溶いて流動性を高め、コーパル樹脂特有の密着力の強さ、耐候、耐久性の良さによって堅固なマチエーメを形成します。
    薄めて使う時はペトロールを、乾燥を早めたい時は、シッカチーフを少量混ぜて使います。

    クサカベからは「コーパルペインティングオイル」なるものが出ている。
    こちらの成分比率はメールで問い合わせ中。
    …だが、ここの情報によると以下の通りだった
    スタンドオイル:37
    コーパル樹脂:13
    テレピン   :50

    しっかり張った

    某軽込先生に教授頂いたコメントを参考に張り直し。
    既に張っていたキャンバス布は型がついてしまっているので本当なら新しい布で張り直した方がよいのかも知れないが、地球にやさしいエコロジーニート画家はそんな事はしない。
    使っているキャンバス布はクレサンの極細目#13。結構平滑で光の当て具合では若干の光沢がみられる。
    しかし以前も書いたがクレサンのキャンバスは透かしてみると穴が結構空いているので質的にどうなんだか疑問である。
    某キャンバスメーカーのサイトによると、「光にかざして穴が空いているのは目止めがきちんとしてないから持ちが良くない」とあった。地塗りより目止めの方が重要という様な感じで述べてあった気がする。
    穴から油が裏側へ染み出したりしたら麻布が浸食されてしまう。
    裏側からニカワでも塗っておけばいいのかも知れないが、そういった処方
    は聞いたことがない為いいのか悪いのかわからない。
    タックスの本数も減らしてみたつもりだったが、結局余ったのを見てみると4本のみであった…。
    長年染みついた感覚を捨て去るのは難易ではない一例である(?)。
    鉄製のものと比較して価格が3倍というステンレス製のものを使っているのでタックス代もバカにならない。
    減らす努力をしよう。。

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