Mediciとして制作しました動画、「実践・天然ウルトラマリンの抽出」が出揃いました。
大筋では15世紀にチェンニーノ・チェンニーニが書き記した手法に沿って、ラピスラズリからウルトラマリンの抽出を行う様子を収録しています。
左のラピスラズリ顔料から抽出作業を経て、右側のウルトラマリンがとれる
ラピスラズリからとれる天然のウルトラマリンは「フェルメールブルー」などとも呼ばれ、近年のブームに乗ってその由来を知る一般の方も多いかと思います。
我々絵描きにとっても幻の存在だったこの青色を、自らの手でつくることができるのは感慨深いものがあります。
抽出法を知り初めて実践したのが8年前。
事の経緯とラピスラズリから青の成分を取り出す手法についてはさんざん当ブログで述べてきていますので暇な時に参照いただければと。
過去のブログに書いたように、必ずしもパテに添加するのはマスチック樹脂でなくともダンマル樹脂で代用可能という発見などもありましたが、今回の動画ではチェンニーニの処方どおりにマスチックを使いました。
一方で抽出後の顔料洗浄に超音波洗浄機を使ってみたりと、新たな試みも披露しています。
抽出後の洗浄はやはり丁寧にやってあげないと、お湯ですすぐ際にダマができやすいようです。
他にも効率よく洗浄する方法は無いかと料理用ミキサーやドリルを使った撹拌機も検討しましたが大掛かりな上にうるさいですからね。
理科実験用のスターラーは高価ですが、調べると小型で非常に安価なものもありました。こちらを使って長時間洗ってあげるのも良いかなと。
また最近みつけたものとしては電池で動くシェーカーなるものがありまして。
800円台のものは中国からの発送でアヤシイのですが、これは試す価値ありそう。
動画中でラピスラズリを砕いている道具については下記を参照頂きますと部品の詳細を記しています。
もっと簡易で良い道具や方法をご存知の方はお知らせ頂けるとうれしいです。
また抽出時の温度管理について、動画中ではいい加減にやっていますが過去のブログを読み返すとちゃんと湯煎などしていました。まあ台所と違って自室で水を扱う作業には制限があるのですが。
結構忘れている事が多いですね。読み返すと参考になります。
ところで以前にも動画でラピスラズリと天然ウルトラマリンについて語ったシリーズを公開しています。
ほとんどラジオ状態ですが、こちらも聞き流していただければ雑談の中から何かヒントやひらめきが得られるかも知れません。
今回公開した動画の最後に松川さんが提案されている「水簸で分離できないか」というような事も含め、今後も度々実験してみて、何か発見があればまたご報告したいと思います。
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